放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

生志、白鳥、一之輔が!

  あの、国民的演芸番組に立川生志、三遊亭白鳥春風亭一之輔、が出演すると話題になっている。

 

 この三人は、10年程前。私が構成していたテレビ朝日の「落語者」で主力として活躍してくれた三人である。

 生志さんは最多出演だったと記憶している。古典落語に登場する放送禁止用語の部分を自分の口で「ピー!」と言ったのが思い出深い。

 結局、「ピー!」も演出家から却下されて、撮り直したのだが…。快く撮り直しに応じてくれた。

 

 三遊亭白鳥さんは、番組の始まる第一回目の収録の出演者である。実は、高座の高さと客席の高さのバランスは、私とスタッフが白鳥師匠に相談して決められた。

 私は当日。スタジオに行くと「高座が…打ち合わせの感覚より高いと感じた」。そこで、スタッフに「高座、低くなりませんか」と提案したが、今からでは無理との返事。

 その後、スタジオ入りした白鳥さんが一言。「これ、高座が高いな!低くなりませんか。ダメなら、客席の椅子を高くして下さい」。

 スタッフは私と同じことを言ったので驚いていた。しかも、席を高くするという発想はサスガだ。

 そのおかげで、以後、スタッフは私の意見をよく聞いてくれるようになった。白鳥師匠に感謝である。

 

 また、この時私は座布団を見て驚いた!家庭用の小さな座布団が用意されていた。私は「和尚さんが使うような大きなもの」と伝えていたが、末端のスタッフには通じていなかった様だ。

 その座布団を見た白鳥さんはカッコ良かった!次に収録する演者が柳家花禄さんと聞いて、白鳥さんは花禄さんの携帯に電話した。「目白の実家から、お爺ちゃんの座布団持ってきてよ!収録で使うから!」。

 私は心の中で「おおお~!」である。目白とは人間国宝柳家小さん師匠のこと。つまり、お孫さんの花禄師匠にAD並の仕事をいいつけたのだ。

 聞くと、白鳥師匠と花禄師匠は前座時代を一緒に過ごした仲らしい。

 数十分後。花禄師匠が座布団を担いで入って来た。なんとも贅沢の極みである。花禄師匠は文句一つ言わず笑っていたのが印象的だった。素晴らしい人格者である。

 ちなみに、放送は花禄さんが先だったが、収録は白鳥さんが先。つまり、白鳥さんは家庭用の小さな座布団で落語をやっている。なんとも申し訳ない話である。

 

 そして、春風亭一之輔さんは、当時まだ二つ目。21人抜きの真打が決定した直後に「真打じゃないけど、特例で出しませんか?」と提案してみた。ラジオ「サンデーフリッカーズ」(JFN)がもう始まっていたので、売り出しキャンペーンのつもりで少し強めに押していた。

 スタッフは「21人抜き」というワードに惹かれて「特例で出てもらいましょう」という話になった。

 

 そして、白鳥さんは二回目の出演の「ハイパー寿限無」で最高視聴率をマーク。何と!番組の前がサッカー日本代表の公式戦。そのまま、視聴率が落ちず、深夜としては異例の数字となった。

 

 さらに、一之輔さんの「欠伸指南」の放送の途中で、空爆開始のテロップが入ってしまった。私は、「これは、NHKのニュースに数字をとられる!」と思ったが、結果は視聴率トップ。戦争にも負けない落語なんて…神の領域である。

 

 思い出深い三人が、あの、番組に出る。また、何か奇跡を起こしてくれるかも知れない…。

 

 

 

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