今頃。東海大学の学生時代に初めて銭湯へ行った時のことを思いだした。大学2年の春。昭和56年のことだ。
それまでは、大学の近くの秦野の共同風呂付きの下宿に住んでいた。
新居は、落研の有力な先輩達が多く住む、小田急相模原駅近くである。私は東海大相模・野球部の打球音が聞こえる風呂なしアパートに引っ越した。
家賃はこちらの方が高いが、専用の玄関があり、洗濯機を置くスペースがある(洗濯機が無いので無駄だが)。いわゆる普通のアパートだ。
それでも、私には玄関が共同でないのが嬉しかった。
初めて近所の銭湯に行ってみた。ここは、落研の「ときわ荘」と言われた「共栄荘」(柳家一九師匠、春風亭昇太師匠も住んでいた)の近くにある伝説の銭湯だ。
この湯船につかるだけでも、落語が上手くなる様な気がしたものだ。熱い湯に入る時などは、落語「強情灸」の枕を思い出しながら、湯船につかっていた。
サッパリして、湯から上がると、ここは、コーヒー牛乳だ。青春もののドラマなどでも銭湯の後はコーヒー牛乳と決まっていた。
私も大学生の青春を堪能すべく、コーヒー牛乳を一気飲みした。
さあ、帰るか!
そして、外に出ると…。あっ!私のビーチサンダルが無い!
銭湯初心者の私は、不覚にも鍵付きの下駄箱に入れずに、買ったばかりのビーサンを脱いでいたのだ。
当時の私の発想では「この豊かな時代に靴など盗む奴は居ない!」考えていた。しかし、昔ながらの銭湯には「履物ドロボー」という文化が残っていたのだ。
私は大きなショックを受けた。居酒屋の鍵の無い下駄箱にコンバースやプロケッツのスニーカーを入れても盗まれたことはない。
何故?銭湯だと盗まれるのだろう?これは、銭湯マジックである。多分、私のビーチサンダルを盗んだ奴も、居酒屋では盗まない筈だ。
銭湯には時代を超えた不思議な空気が流れているのである。
私の新品のビーチサンダルの代わりに、黒く薄汚れたボロボロの便所サンダルが置かれていた。多分、犯人が履き替えたものだろう。
私は水虫がうつりそうなのを我慢して履いて帰った。そして、すぐ、捨てた!
数日後。ある先輩の下宿に遊びに行くと、私の盗まれたものと同じビーチサンダルがあった様な気がする。
近所の店で偶然買った物かも知れないが…。定かではない。「Oさん!あれ、盗んでませんよね?」とは、未だに聞けない(違っていたらスイマセン!)。
ちなみに、Oさんは二年先輩で、noteの有料書籍「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語~」に出て来た先輩である。
私の部屋にいきなり来て、自分の汚れた服を脱ぎ、私のマクレガーのシャツを着て「これ、洗っといて!シャツは借りるから!」と言って去って行った凄い人だ。
今、思うと、あの先輩は人の物を盗る様な人物ではない。私の勘違いである。しかし、マクレガーのシャツは、四十年たった今も貸したままである。
追伸・・・。
一度書いた後で思ったが…。やはり、Oさんの仕業ではない。それは、私と銭湯で会っていないからだ。もし、来ていたら気づかない筈がないのだ。
もし、Oさんが盗んだとしたら、私から盗んだ奴から盗んだのかも知れない。となれば、私の敵を討ってくれたわけだ!(結局、ドロボーを疑っている!)
どちらにしろ、尊敬する先輩に盗られたのなら本望だ!我が部の忠誠心はねじ曲がっていて、普通の人には理解できない。
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直木賞には程遠い、青春エッセイを皆様に…
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