放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

桶田敬太郎君が突然!

 仲の良かった、フォークダンスDE成子坂の桶田君が突然言い出した。「バス釣り行きませんか?」。私はバスが何かも分からなかった。

 こんな時、私はほとんど断らない。興味がないことでも「何故この人は興味をもっているのか?」に興味があるのだ。釣りは嫌いだが桶田と言う男は好きなので行くことにした。

 

 「小林さん、道具買いに行きましょう!」

 連れて行かれたのは中古の釣具店だった。桶田君はお洒落で豪華なイメージがあるが、実はブランド物も着ないし、贅沢なものも食べない。庶民派グルメには詳しいが、高級店は行かない人だった。

 

 「釣りのリールは、中古なら三分の一の値段で買えるんですよ」

 「そうなの?」

 見ると、中には新品で中古になっているものもある。私は三千円のスピニングリールを買おうとしたが…。

 「いや! こっちの方が絶対いいですよ!」

 勧められたので六千円のリールを買った。店の人に聞くと「私でも、こっちにしますね!型が古いだけで、このリールはシマノの高級リールでプロも使います」と言っていた。確かに回してみると回転がスムーズで繊細だった。

 

 「次は竿ですね!」

 「これ、新品だけど安いな~!」と私が三千円の竿を見ると…。

 「同じ三千円なら、こっちが絶対いいですよ!」と勧められたので、素直に買った。

 その後、練習代わりに釣り堀に言った時、釣り場で指導してくれるスタッフが私の竿を見て言った。「初心者なのに、こんないい竿使ってるんですか? これ、プロがプロデュースした絶版の銘品ですよ」と言っていた。

 しかも、さっきまで釣れなかったのに、指導通りにやると、ガンガン釣れるのだ。

 これは面白い! 私は釣りが好きになっていた。

 

 敬太郎君は、人をその気にさせるのが上手い。

 

 何度か管理釣り場(釣り堀)に言った後、敬太郎君が言った「河口湖、行ってみますか」

 富士五湖の一つ河口湖は、漁協がブラックバスを放流して公認でやっている釣り場。漁業券を買ってバスを釣る天然の管理釣り場みたいなところである。

 

 行くと、中々釣れないが水が綺麗で気持ちがいい。一日で五匹程は釣れたと思う。

 調子に乗って翌週一人で釣りに行ってしまった。これでは、もはやハードな趣味である。

 

 一人で行ったことを敬太郎君に伝えると「よく、一人で行きましたね~!僕は一人では行かないです」と言っていた。早くも、熱で私が超えてしまった。

 

 すると、敬太郎君、恐ろしいことを言いだした。「トーナメント出ますか? 一年間闘って、全部出れば来年プロになれますよ!」。

 

 もうメチャクチャだ。昨日今日始めた釣りなのにプロを目指すことになってしまった。流石は芸人で成功したのにミュージャンを目指した男である。常に、夢が大きいのだ。私は当然、嫌やとは言わない。何故かと言うと「私は断らない男」だからだ。

 

思い出日記。続きは、また、後日…。

 

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