放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

フォークダンスDE成子坂

 その昔、名古屋でフォークダンスDE成子坂の番組を構成していた。私は何故か桶田敬太郎君と仲が良く、家に行ってテレビゲームをやったりバカ話をしたりしていた。しかし、番組が終了すると連絡が来ることもなくなり、どこに住んでいるのかも知らないまま、テレビで活躍を応援していた。

 最後に、会った時の言葉は「解散してバンドをやりたい」だった。私は「ここまで売れたのに何で?」と聞くと「SМAPがコントやると絶対うけるでしょう? 一度、SМAPになれば、もっとコントがうけるんですよ」と、スゴイことを言った。

 私はつい「SМAPになるのは、コントで売れるより難しいよ」と言ったが、その意思は固かったようだ。その目はまるで「将来、ウルトラマンになりたい!」と言う子供の様に曇りがなかった。

 

 数年たって、突然、敬太郎君から電話がかかって来た。「今から、遊びに行って良いですか?」。突然、私のマンションを訪ねてきたのだ。聞くと、バンド活動も一通り終えて作家や企業にアイディアを売る会社を経営しているという。何と! 特許もいくつかとっていた。

 桶田君が言った「今、僕、株のデイトレイドしてるんですよ!小林さんもやりませんか?」。私はこの時、詐欺かと思った。しかし、証券会社の申し込みの仕方や方法は教えるがお金を請求することはない。本当に仲間と株を楽しみたかったようだ。

 私は大金で株などできないが、競馬で損するのと同じ感覚なら遊びでやってみることにした。調べると数万円のものや一万円以下で買える株もあるのだ。

 

 それ以来、敬太郎君はことあるごとに、色々な情報をくれた。「これから、鉄関係が上がるんですよ、この株僕も買ったんですけどお勧めですよ」。

 その時、私も「鉄人化計画」という不思議な名前の株を買ってみた。すると、全然、値は上がらず。少し下がり気味だった。すると、敬太郎君から電話があった「小林さん、鉄人化計画って「鉄」の会社じゃなくてカラオケボックスでした!すぐ、売りましょう」。二人ともすぐ売ってことなきを得た。「鉄」が付いているだけで鉄鋼の新企業だと思って買ってしまったのだ。まったく面白い男である。

 

 結局、十数年以上も株をやっているが、私は安いものしか買わないし無理をしないので、現在、プラス五万円ぐらいである。十数年で五万円とは効率が悪い。しかし、リーマンショックの時の大暴落を取り戻したのは驚きである。小遣い程度のお金でやっていると、下がってもそんなに気にならないのだ。多分、何百億もの資産がある方や石油王なら、ポケットマネーが凄いから、五千万とか五億の儲けをだしているのだろう。

 

 貧乏人は身の丈に合った勝負をするのが正解だ。敬太郎君は昨年、不幸にして逝去したが、私に色々な遊びや、ものの考え方。ものの楽しみ方を教えてくれた。

 

 敬太郎君とは、あまりに思い出が多いので、時々、発表するかも知れない。