放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

いつの間にか値段が上がっている

 三十年前に買ったマツダ・ロードスターの値段が上がっている。当時、中古で百万程だったが、今も程度の良いものは百万を超える金額で売られている。

 

 古い車だから、エアコンも替えたし、ミッションも替えたし、発電機も新品。塗装も塗りなおしている。つまり、私の車は程度が良い中古ということになる。しかし、今、誰かが「売ってくれ」と言っても百万円代では売れない。

 価格を超えた愛着と歴史が車についてしまったのである。もはや、移動の道具ではなく、趣味のグッズの意味合いが強い。多分、修理が可能な限り乗り続けだろう。次に車を買う時は二台持ちになるだろう。こうなるとお金がかかって仕方がない。

 

 ものの価値なんて本人が決めるものである。私はスピードが怖いので飛ばさない。ゴーカートの様に低速でも体感の良い、この車が楽しいのだ。

 ボディの弱そうな感じもスリルがある。運転そのモノが楽しい車はそうあるものではない。昔からロータスエランが好きだったが、庶民はマツダ・ロードスターが丁度いい。中でも私のは初期のタイプ。デザインがとても良いのだ。展示されていた最新のロードスターの座席に乗った時、思った。「俺のロードスターの方が前が見やすいな!」。最新の内装の素晴らしさを目にしても、愛車が勝ってしまった。

 

 もはや、娘を溺愛する親バカと同じだ。もし、嫁に出す時があれば泣くことだろう。