放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

何と!ラジオ・コント・レギュラー出演!

 二十五年程前だろうか? 記憶があやしいが、S玉の人気FМ局〇〇5でとあるDJの番組を担当していた。

 

 放送はG座のサテライトスタジオからの生放送だが、道に人が群がるので警察にクレームをつけられてしまい、ガラスにはブラインドを設置。中が見えないという設計ミスのサテライトである。

 

 この番組の制作会社の社長は、天才的放送作家のS氏である(ブログを遡ると数回登場)。S氏は作家を続けながら制作会社を立ち上げて、作家ギャラだけでなく番組ごと受け持つという賢い仕事師となっていた。

 

 S氏は自分でも台本を書くのだが、一人では間に合わないので私を作家に起用したのだ(やたらと原稿が多い番組だった)。実は、DJが私の知り合いで、二人を会わせたのは私だった。そんな縁を大切にしてくれたのだと思う。

 

 DJのМ君は、新しいことが大好きで「CМや曲の前後にコントを入れましょう」と提案していた。

 おかげで毎週、コントを何本も用意しないといけないのだ。

 

 S氏が毎週コントを何本も量産。私がコント一本と、全体の流れや電話コーナー、ハガキコーナーの進行などを書くことになった。

 

 しかも、S氏が恐ろしいことを宣言したのだ。

 

 「コントは、スタッフも全員出演します」

 「ええええ~っ!」

 

 これは、大変なことになった。女子高生三人がおバカな会話をするコントで、女子高生を演じるのはS氏、私、ADとなった。作者はS氏である。

 

 最初の放送でAD君は演技が出来ず、男のそのままの声で女子高生を演じて、ゲイバーの様になってしまった。

 しかし、これが怪我の功名。逆に面白いと言われてしまった。そこで、三人共そのままの男の声で女子高生のコントをやることになった。

 

 コントは毎回、女子高生が間違えた情報を「知ってる?」と提供。それを、感心して私が聞くと、AD演じるマヤが知ったかぶりで嘘をつき、二人が納得するというものだ。最後は必ず「マヤは物知りね~!」で終わっていた。

 

 内容はあまり覚えていないが…。唯一記憶にあるものを再現してみると…。

 マック鈴木が大リーグで活躍していた頃で…。

 A(S氏)「ねえねえ!ジェシーマック鈴木って知ってる?なんだか凄いらしいわ

  よ!」

 B(私)「そうなの、それって面白いの?ねえ!マヤ知ってた?」

 C(AD)「何言ってるのよ!二人共、ダサイわね!それは、マック・スズケ!」

 A「えっ!そうのなの?」

 B「それ何?映画?」

 C「何言ってるの!マクドナルドが新しいピクルスを出したの!だから、マック酢漬け!原宿では常識よ!」(こんなやりとりが二分程あって)

 二人「マヤは物知りね~!」

 

※実際にはもっと面白い原稿だったが、私には再現できない。

 

 的なものだったと思う。私は原稿を読むだけなので楽しかったが、S氏は他にもナレーションコントや、CМ前後のショートコントなどを毎週何本も量産していた。

 

 S氏は言った。「小林のてっちゃん!一人コントを自作自演でやってよ!」

 「えええええええええええ~~~!」

 

 私は毎週それは「やめてくれ~!」と思ったが、コントを量産している本人に言われては断るわけにはいかない。

 

 それは「ダンドリ―ダー」という名のコントで、一人の男が世の中のあらゆる段取りを計算して、勝利を収めるというものだ。

 

 これも、内容は詳しく憶えていないが…。

 「中華料理屋で絶妙なタイミングで餃子を頼むダンドリ」「歌舞伎町で呼び込みをかいくぐって目的の店にたどり着くダンドリ」など、どうでもいいことに成功して、最後に「俺は勝った!うお~!」と叫ぶと映画「ロッキー」サントラが流れて終わるというものだった。

 

 私は半年もすると、ネタに困る様になってしまった。設定は会議で決めるのだが、展開がマンネリになってしまったのだ。

 

 そこで、私は友人の桶田敬太郎(元・フォークダンスDE成子坂)に頼んでみた。

 「ラジオのコント、一本五千円で書いてくれない」

 「いいっすよ!」

 

 話は簡単だった。私のポケットマネーでコントを買うことにした。とりあえず、設定を伝えて三本書いてもらった。

 

 番組では作者はシークレットだったが、あの天才コント師が私の為にコントを書いてくれるのだ。私は期待で胸が膨らんでしまった。

 

 そして、一週間後。敬太郎に渡された原稿を見て驚いた! 斬新で面白いのだが、私がやるとツマラナイパターンだった。

 

 多分、敬太郎本人がやれば爆笑になったと思うが、私がやると笑うきっかけが無いのだ(または、村田渚の突っ込みがあれば爆笑になるだろう)。

 

 敬太郎には悪いが、私がベタなギャグに書き直すこととなった。お笑いは本当に難しい。芸人さんのコントと素人のコントは違うのである。

 私が演じるにはベタなギャグでないとうまく出来ない。天才的な「言い回し」「強弱」「間」の必要なコントは素人ではシラケるのである。

 

 私は敬太郎に大幅に直したことは言えなかった。プライドが許さないと思ったからだ。

 

 敬太郎「この前の、コントどうでした?」

 私「いや~!斬新だった!今までと色が変わって評判だったよ!」

 

私は番組の放送時間もタイトルも伝えていないので、聞いてはいないと思う。そこで、嘘をついてしまった。

 

 それ以来。私は人に下請けを頼むことをやめた(番組スタッフには了解を得ての発注だったが)。

 

 番組により必要なギャグは違う。天才過ぎると普通の番組には向かないのである。

 

 

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爆笑問題・太田さんのコメントも追加されています。

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