放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

今日、新聞を見てフォークダンスDE成子坂の桶田敬太郎を思い出す

 今、新聞を見たら…。「オンライン名刺」の広告が大きく出ていた。それを見て、私の脳裏に蘇ったのは、桶田敬太郎君(フォークダンスDE成子坂)だ。

 

 十五年か二十年前だろうか? 敬太郎君が言った。

 「小林さん、僕今、紙の名刺に代わるデジタルの名刺を考えてるんです」

 「何それ?」

 「携帯でやりとり出来て、動く映像も付けられる名刺です。これ、いいでしょう?」

 サンプルの映像を見せてくれた。オリジナルの動画が飛び出して動いて名刺になっている。しかも、の名刺は広告が付いていて無料で使えるという。

 さらに「名刺に広告を付けるシステム」で「特許」も取っているというのだ。

 

 私は、飲み屋でよく会うIT系の会社の社長にプレゼンしてみた。すると、社長は「デジタルの名刺」ではなく「動くアニメ」の技術に食いついて来た。

 社長「知り合いの会社を紹介するので、デコメール作ってみませんか?」

 

 目的が変化してしまったが、敬太郎君と私で「デコメール」のアイディアを出すことになった。アイディアは中々好評で、十本程のデコメールを納品したと思う。

 

 それから、一年もたっただろうか? 釣りに出かける車の中で、敬太郎君が口を開いた。

 「あの、デコメールですけど「使用料」が振り込まれてきました」

 デコメールは有料で売れた数だけ何パーセントが貰える契約だった。

 「小林さん、二人で分けますか? 一人二十円ぐらいです」

 「いらないよ!」

 

 この仕事、全然儲からなかったのだ。

 

 しかし、今、新聞で「オンライン名刺」の広告を見ると、敬太郎君の発想が間違っていなかったことが分かる。

 

 多分、今やっている企業は有料なのだろう。広告を付けて無料にすると敬太郎の遺族に特許料が払われると思うが…。その辺は、よく分からない。

 

 しかし、敬太郎君の発想は間違っていなかった。それだけは確かである。

 

 今、調べたら…。企業が始めた「オンライン名刺」は百枚980円。つまり、敬太郎の特許は関係ない。おしい!

 

 

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