放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

40年程前・超ダメ落研君・大学同期のSの思い出!

 突然、思い出した…。

 

 昭和55年。東海大学落語研究部に入部した私には同期が4人居た。1年の春には20人以上居たが(多分)、みんな辞めてしまった。

 私は6月頃入ったので最初に入ったグループからは外様の存在。色々と突っ込まれいじられていた。私をいじっていたオシャレで女性にモテそうでスポーツの出来る奴らは、みんな辞めてしまった。初めて落語を覚えて披露した時。モテそうなリーダー達が全員、落語がヘタだと分かったからだ。私も笑いの起きないツマラナイ一年だったが…こいつらは、リズムも活舌も悪く、訛る奴もいる。なにもかも低レベルだった。女子との会話はスムーズな奴らが客の前で絶句しているのだ。

 

 私が入部して1カ月。気づけばみんな辞めて同期は4人になっていた。その中に、4月の初めから入部組のST狂君が居た。彼は4月組には珍しく地味でモテないダサダサタイプの男だ。落語は小さん師匠のコピーでお爺さんの様に「ボソボソ」と喋っていた。当然、まったくウケない。一見、上手そうにも見えるのだが、2分も見ると眠気に襲われる。19歳なのにお爺さんみたいというギャップが異様な空気を醸していた。

 

 S君は無口なので部室でもほとんど会話したことが無かったが…。ある日。少年週間漫画雑誌を手にしたSが部室にいたので「何読んでるの?少年漫画なんて俺、小学校以来読んでないよ!」S「えっ!これ、知らないの?今は「タッチ」読まなきゃダサイぜ!」「えっ!ダサイ?」

 あの落研一ダサイSが私に「ダサイ!」頭の中をダサイがグルグル回る程のショックだった。さらにSは「たっちゃんが、南の気持ちを分からなくて歯がゆいんだぜ!」

 

 私はアニメ化されてから「タッチ」を観たが、漫画で読むことはなかった。今更読むのは私のプライドが許さなかったのだ。

 

 それから、1年後ぐらいだろうか…。部室でソープランド(当時は別の名称)の話になった。我々、落研2年生は誰も行ったことがなかった。想像をめぐらせて「こんなかな?」「あんなかな?」「数年前。先輩達はテレビの賞金で全員で行ったらしいぞ!」などと盛り上がっていた(森田芳光監督の「の・ようなもの」が公開され、主演は落研出身の伊藤克信さん。この時のマドンナ・秋吉久美子さんの役がソープ嬢だった)。

 

 すると、無口のSが言った「ソープ?!俺なんか月1で通ってるぜ!」(全員体から大コケ・荒井注が「ディス イズ ア ペン!」と言った時のコケ方)「えええ~!」

 

 ソープ話はそこで終わってしまった。そして…。我々の頭の中では「何でこいつが?」「なんでそんな金があるんだ?」「落語つまんないくせに!」「そうか!つまんないからソープに逃げてるのか!」

 

 誰も「彼女を作ろう」という発想にはならなかった。それは、夢の先すぎて現実味を感じなかったからだ…。

 それ以来…。寄席に通う回数が増えた。落語でウケてウケないSをどん底に落としてやる!

 私がウケてSがシラケタ時。高座の後にSが言った「今日は思ったよりウケたぜ!」

 (心の声)「おいおい!笑いは一カ所も無かっただろうが!」

 こいつは、自分にやたらと甘い奴なのだ。S「黒舟も、いつもよりウケてたじゃん!」「お前に言われたくないわ!」

 

 S君は、数回前に書いたブログで小遊三師匠のコピーで落語をやって一カ所も笑いの無かった伝説の男である。

 私は心で思った。「毎月、ソープ行く金で落語観に行けよ!」

 

 

 

 

 

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