放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

風評の不思議…デマは独り歩きする…。

 ある会議に行くと…。「遅刻は初めてですか?」と聞かれた。私は会議の15分前に着いている。不思議に思っていると、偉い方が「小林さんがラジオで喋ったんですか?」

 

 そこで、やっと分かった!「サンデーフリッカーズ」(ラジオ・JFN)の生放送に春風亭一之輔さんが遅刻したことを言っているのだ。13年以上やって初めてのことだが…。私が代りに喋ったと思っている。

 そう、東京は放送していないので、みんなネットの情報で適当に話を作って盛り上がっているのだ。誰かが「小林が代りに喋ってオタオタしたらしい」と話題にしていたのだ。

 

 実際。私はまったく喋っていない。いつもより「リアクション」も少な目だった。皆さんは、生本番に遅刻するのは「会見ものの大失態」だと思っている様だ。「現場もピリピリしたのでは?」と予想しているのだ。これは、テレビの生放送の感覚である。  

 我々スタッフは「遅刻」が決定した時。小さくガッツポーズをした。遅刻はいけないが…ラジオの生の場合、ドキュメントな臨場感が「神回」になるからだ。

 局の偉い方は怒るかもしれないが…。現場としては「今日は盛り上がるぞ!」という開き直りがあるのだ。起きてしまったものは仕方がない。そこで、どう演出するか、遊び心を出せるかが勝負だ。

 当人は最短で来られる様に、最初は電車に乗ろうとしたが…。これだと、オープニングの時間は車内になってしまう。車内ではスマホで繋げない。そこで、タクシーにしてもらいスマホで繋ぐ選択をした。その昔の中継はアンテナを立てないと出来なかったが、今はどこでも話せる。

 ハプニングのおかげで「生電話」のコーナー(こんな日に限っていつもより希望者が多かった)が無くなったのは申し訳ないが…。生の特性は生かせたと思う。タクシーの運転手さんのコメントも新鮮だった。

 

 話は戻るが…。その会議のスタッフが言った。「そのラジオどうしたら聞けるんですか?」私「ラジコプレミアムで300円払えば聞けるよ」「ダダではきけないの?」「栃木とか群馬とか放送県内に行けばダダで聞けるよ!沖縄とか北海道とか岐阜とか鹿児島とか…」「あー!…」。会話はここで止まった。潮が引いた様に…。皆さん、何事も無かった様に別の話題へと移って行った。

 こいつら、お金払って聞く気は皆無だ!

 

 それなら、「俺が代りにDJスタイルで洋楽かけまくったよ!」と嘘を言っておけば良かった。「DJ・KTのサンデーフリッカーズ!」である。

 

 私は真面目過ぎて嘘が付けない。人の言葉も全部信じてしまう(課金の詐欺は別)のが欠点だ!