ラジオ番組のゲストが「プロレス脳」という言葉を使っていた。現役アイドルの女子レスラーには、観客を酔わせるパフォーマンスの才能があるというのだ。同じやられるのでも、ダダ倒れるのと「苦悩の表情・アクション」で倒れるのとでは、アピール度が違うのだ。
過去の売れっ子レスラーも「プロレス脳」のある人が大半だと思う。ただ強いだけでは「面白味」が無いのだ。
40年前。大学落研の後輩に落語はダメだが勉強のできる奴がいた。わが校では少数派の存在だ。私が英語の講義の前に「今日、訳が当たりそうだから、このページ訳してくれないかな」と、二年後輩のT君に頼むと、辞書も使わず訳してくれた。講義では、そこが私に当たり、見事に単位もとれた。
Tは数学が最も得意で、先輩に教えていた。数学教師を目指しているという。そんな優秀な男だが…。落語をやると「かなり痛い」。活舌悪く、強弱無し、早口すぎ、の三冠王だ。
彼には「落語脳」は無く「勉強脳」にたけていたのだろう。
T君を見ていると「そんなに勉強できるのに、何故うちの大学に来たの?」と思えた。OB会でT君に聞いたら「僕こそ、先輩達はこんな学力でよく大学に入れたな」と思っていたそうだ。当時、声に出して言わなかったのは忖度だったのだろう。
T君は何故か教員採用試験に落ちたが…。教員より難しい一流企業に入社した。東大卒も入る企業である。しかも、その一流企業は倒産して全国的なニュースにもなった。
再就職して長年勤めたらしいが…。60才になり、いきなり県の教育委員会から電話あり「高校の教員になりませんか?」と言われたそうだ。普通なら、詐欺みたいな話だが、本物で現在、甲子園でも有名なある高校で教師となった。
T君の「教師脳」はどうだろうか?授業は落語じゃないので大丈夫だと思うが…。小噺など入れてシラケないか心配である。
「早口過ぎて」生徒が付いて行けない可能性も否めない。しかし…とても良い話だ。突然、やってきたジャパニーズ・ドリームである。
ちなみに、私も電車の中で久しぶりに会った人に名刺を渡したら、テレビの新番組を頼まれたことがある。「落語に精通している人」が居なくて困っていたそうだ。
私は「落語脳」でトレイン・ドリーム。この番組では二つ目時代の春風亭一之輔さんの落語を数本放送。横並び一位の高視聴率をとったのを思い出す。
私の運がそろそろ次の幸福を呼び寄せて欲しいものだ。