放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

1970年・大阪万博の思い出…。

 1970年。旅行などしない我が家に一大イベントが持ち上がった。オジサンとオバサンの家族と我が家の三家族で「大坂万博」に行くというのだ。

 車が無く、免許取得者も居ない我が家は、二台の車に便乗しての出発となった。

 

 私は小学校三年生。テレビで「大坂万博」のことを毎日、報道していた。特に「アメリカ館」の「月の石」。「三菱未来館」の乗り物に乗ってのアトラクション(当時は珍しかった)。「住友未来館」の…内容は忘れました。

 さらに「日本館」の…内容は忘れた。あたりは行列が凄くて3時間~5時間待ちの状態。当然、私も期待が膨らんだ。

 

 しかし、長く車に乗ったことのない私は窮屈で嫌になる。しかも、一台は軽自動車で、何故かそっちに乗ってしまった。

 旅慣れていない家族なので途中の休憩はサービスエリアだけ。夜中に出発して、眠ってしまった私は、朝気づいたら太陽の塔が遠くに見えていた。

 眠い目をこすりながらも、私は「アメリカ館」「三菱未来館」「日本館」をついに観られると興奮していた。

 

 会場に入って、私と兄が「三菱未来館」の行列に並ぼうとすると父親が言った「こんなの何時間も並んでらんないよ!ダメダメ!」。

 愕然とする私達に父親は「ここ、空いてる入ろう!」。見るとそこは「ビルマ館」と書かれている。決して「ビルマ館」が悪いわけではないが、農耕器具などが展示してあって、田舎の郷土資料館と変わらない。行列無しで入れるのもうなづける。

 

 サスガに私は「もっと、テレビでやってるの入りたいよ!」と主張すると…。

父「そうか!じゃあ、あそこ空いてるな!」と入ったのが「太陽の塔」だった。確かに万博の象徴なので知名度は満点だが、芸術も岡本太郎先生も知らない小学生には、近所の美術館の派手な奴。そんな感じである(今なら3時間観ても飽きないと思うが…)。

 

 私の怒りはピーク「行列に並ぶ!」と強く言うと…。父は「我がままだなー!しょうがない、ここだ!」と行列はあるものの10分ぐらいで入れるところに並んだ。それは「フジパン・ロボット館」。何故?パン屋さんがロボットなのか分からなかったが…。

 今の様に歩行するロボットではなく、足の裏に車輪が付いているロボットが動いていた。未来はアニメの「アトム」の時代が来る!と言っていたが…。

 どう見てもブリキのゼンマイのオモチャを大きくして電動にしただけだ。コンピューターも搭載されていない。話しかけても無視される。

 

 これで、私の万博は終了した。父親は「どれ観ても同じだ!」と言うと、外を散歩して一日が過ぎてしまったのだ。

 車の運転すらせず(できない)何も計画もせず子供の夢を粉砕しただけなのに父は「俺は子供達を大阪万博に連れて来てやった」と満足顔だ。

 

 我々子供は、大人のプライドを気にして、もう、従うことにした。

 

 そして、外でアイスクリームなどを食べていると、母親が「黒人さん、近づいたら…香水の匂いがきつかった!」と嬉しそうに言った。「やっぱり、外国の人は香水なのね!」。母が外国人を観たのは進駐軍以来だと言う。

 

 そして、幼稚園児の従妹(女性)が叫んだ!「万博!花火ド~ン!」。確かにほとんどパビリオンに入らず外に居たのだから、幼稚園児には「花火」しか印象に残らなかった様だ。

 

 帰りの車で疲れた私が車で寝た後気づくと…。高速の降り口の車内で全員が眠っていた。つまり、宿すら取らない節約旅行だったのだ。

 貴重な体験にはなったが、興味の無い大人が万博に行くと悲惨になることを学んだ。

 

 この従妹は、この年の盆も正月も親戚が集まると「万博!花火ド~ン!」と叫んでいた。その時の表情は、ワールドカップの後、やたらと「ブラボー!」と叫んだ皆さんと同じだった。

 

 てなわけで思い出が蘇った訳である。

 

 先日「岡本太郎展」を観たのも影響しているのだろう。ところで「三菱未来館」「住友館」「日本館」を観た方、そこには何があったのですか?「三菱未来館」はディズニーランドのアトラクション風に未来予想図を見せていた様な気がしますが…。他は…?!

 

 

 

 

 東京ディズニーランドが開園した大学時代。万博のトラウマか「そんなの行くか!」と、江戸のテーマパーク「新宿末広亭」に行っていた頃のお話。

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直木賞には程遠い、青春エッセイを皆様に…

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「放送業界編」800円(高そうに見えますが、上中下に分けていないので、枚数と値段は同等です)

 

放送作家で専門学校の先生・下村稔さんが「上」に登場する「初めての下宿の描写」を褒めてくれました。私としては意外な部分でした。落研入部前の不安な若者の描写が良かったそうです。

 

「青春落語バカの楽しいエピソード」有名劇団の主催者や脚本家、演出家絶賛!

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