放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

所ジョージさんと映画「大脱走」

 十年以上前のこと。テレビで所ジョージさんが渋谷と恵比寿の間にある「トイズマッコイ」という洋服屋さんを紹介していた。

 

 映画に登場した衣装をそのまま「復刻して販売」している凄いお店だ。勿論、オリジナルの商品も数多く制作している。

 こだわりが凄すぎて、値段はかなりの高額となる。しかし、素材の質感、映画と同じ劣化まで再現している。

 「タクシードライバー」でデニーロが着ていたジャケットや「大脱走」でスティーブ・マックイーンが着ていた「革ジャン」「靴」「バッグ」「トレーナー」まで再現して販売してる。

 

 私は「大脱走」のヒルツ(マックイーン)が着ていた革ジャンに釘付けとなってしまった。

 空軍パイロットの夏用の革ジャンで裏地は薄く、真冬だと寒い。春夏に飛行機で強風を受けた時に丁度良いものと思われる。

 ヒルツは脱走して捕まる度に独房に入れられる。そして、看守をあざ笑うかの様に、独房で壁に向かってキャッチボールをする。

 その時は、いつもこの革ジャンを着ている。カッコよすぎるぞ!ヒルツ!

 

 所さんがテレビで説明をしている。「この、劣化具合は職人が指でシボシボともんで時間をかけて作っているんだよ!この、階級の印も映画と同じ少し消えかけている…この拘り凄いでしょう!」

 確かに凄い!しかし、他社の同等の製品に比べ二倍以上の値段である。所さんは言った。「これだけして、この値段は安いよね!」

 うううううう~ん!そうかもしれない?いや、所さんが言うんだから、そうだ!もう、ヒトラーの演説を聞いた民衆の様になっている。

 

 しかし…「石橋を叩いたが渡らない」のが静岡県人である。私は、一度、渋谷川沿いを恵比寿へと向かい、本拠地「トイズマッコイ」を訪れた。

 

 すると、あの…「大脱走」の革ジャンがズラリと並んでいる。「エイジング加工」なしの新品仕様も売られている。こちらは、四万円程安かったと思う。

 私は「騙されるもんか!」と袖に手を通してみた。「う~ん!いいけど、騙されるもんか!」強い意志が伺える。

 

 店員が言った。「このエイジング加工を施した方は、今年で製作中止です。職人さんから「大変過ぎるので、もう、やめてくれ!」って泣きが入ったんです」

 

 「なに~!それは凄い!今、買わないと…一生手に入らないじゃないか~!ううう~ん!買います!」

 

 結局。高い方の革ジャンを買ってしまった。

 

 すると、気になるのは…「靴」と「ズボン」「カバン」「トレーナー」も映画と同じ物があることだ。「いかん!」これではきりがない!」

 

 私は速攻で店を出た。そして、下北沢で同じ色の青のトレーナーを買った。近所のGAPでそれっぽいズボンを買った。ネット通販で安い軍用の布カバンを買った。これは、フランス軍らしいので国がメチャクチャである。

 でも、構わない。「おら、大脱走王になる!」(ワンピース風)

 私はマックイーンのヒルツ・コーディネートで原付バイクに乗った(当然・ドイツのバイクなど手に入らない。しかも、映画でバイクに乗る時は革ジャンではない)。

 まさに、本末転倒のコーディネートになってしまった。

 

 そんなある日。小田急線のホームで、私と同じ「大脱走」の革ジャンを着ている男がいた。「おっ!」と近づいて見ると…何と!「カバン」もトイズマッコイの本物だ!ズボンも、トレーナーも本物の様だ。

 小太りの背が低い男だが、その姿が…やたらと「カッコ悪い!」。ミリタリーかぶれの、だだのダサイオッサンだ。

 

 私は、「大脱走・コーディネート」をやめた。どれも、単品で別々に着ている。

 

 あのファッションはスティーブ・マックイーンだからカッコいいのだ!私がフェラーリに乗ってもカッコ悪いのと同じだ!

 

 大人買い つわものどもの 夢の後 

 

今度は何を買って失敗しようか?人生の醍醐味である。

 

写真を撮る時…トレーナーを出すのを忘れてしまったので、写っていません!

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大脱走」では、自転車で逃げたジェームズ・コバーンと手漕ぎボートで逃げたチャールズ・ブロンソンともう一人が脱走に成功するが、飛行機やバイクで派手に逃げた者は失敗した。人生の縮図のようだ!

 

地味な学生の大逆転の物語が下にある。俺たちダメ学生が偏差値からの「大脱走」。

成功したのは極一部の学生だった!

           ↓

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「嗚放送にはの大根梁山泊~放送業界編~」も出てます。

 

直木賞には程遠い、青春エッセイを皆様に…

安いです。上→200円。中→300円。下→300円。

「放送業界編」800円(高そうに見えますが、上中下に分けていないので、枚数と値段は同等です)

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