放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

横浜銀蠅4thの翔さんがゲストに…青春を思い出す!

  ラジオ「サンデーフリッカーズ」春風亭一之輔(JFN)のゲストに横浜銀蠅4thの翔さんが登場した。電話出演だったので会えなかったが、なんだか懐かしい感覚に襲われた。

 

 私が東海大落研の一年生だった頃。横浜銀蠅が流行っていたからだ。あの、松田聖子がデビューした年。タノキンの全盛。原宿では竹の子族が踊りまくり、小田急線の電車の中で「お兄さんも、仲間になりなよ!」と竹の子のリーダー女子に勧誘された。

 そして、キャンパスでは新入生歓迎ツアーのテーマ、渡辺真知子が毎日かかっていた。

 

 あの頃。私は横浜銀蠅をあまり知らなかったが、クラブの同期、頭下位亭平々凡々(とうかいてい へいへいぼんぼん)が初めて手に入れた中古車のカーステレオでかけていたのが横浜銀蠅だった。

 富士急ハイランドまでドライブに出かけた時の車内でずっと銀蠅のアルバムがかかっていた。私はツッパリとは縁のない高校時代だったが、学校にはA級の不良が沢山居た学校だった。なんだか、高校時代の環境が蘇るような気がしたものだ。

 平々凡々君はM県の進学校出身。バスケットの県代表に選ばれたスポーツマンだった。おかげで、成績は進学校としては振るわなかった様だ。

 彼は母校では不良の部類だったのかもしれない?

 

 私が驚いたのは、彼はドライブの途中で買い物すると、タバコを買ったのにいつの間にか、パンやポテトチップも持っている。

 服のお腹に入ってるのだ!私は真面目な学生だったので、万引きをする同級生を初めて見た。しかも、慣れている様で店の人に「道を聞いたり」「世間話」をしたり、堂々と振舞うのだ。店主にはまったく不信感が無い。隣で買い物していた私でさえ気づかないほどだ。決して褒められないが何か持っている奴だった。

 

 私は今も横浜銀蠅と聞くと、彼を思い出す。訛りが酷く落語は上手くなかったが、フラがあってとても面白い奴だった。

 そして、松田優作の様に背が高く、喧嘩が強かった。そして、何故か仲間には優しかった。「部室で財布が盗まれる」などの事件も起きていない。多分、万引きは「愉快犯的行為」だったのだろう?

 

 私は彼と麻雀をやってよく負けていた。向こうも、私がカモなので好きだった様だ(あくまでジュースのやりとりです)。ある日、気分を変えてポーカーをやった時があった。

 その日は私がついていて、何をやっても勝ってしまう。彼は熱くなって倍倍で掛け金をあげてくる。

 私は彼の負けを取り返させてやろうとして、ワンペア―で突っ張ると、彼は学生としては半年分の仕送りぐらいのジュースをかけて来た。私の勝ちは莫大だったので、「これでチャラになるな」と思っていた。そこで開くと彼はノーペア。私はワンペア―で仕送り一年分ぐらいの勝ちになってしまった。彼はつっぱれば私が降りると思っていたのだ。

 

 私は朝まで勝ち続けたが、請求はしなかった。学生でそんなものはシャレにならない。「払わなくていいよ」と帰ろうとすると、彼は何か書いている。見ると「私はもう、黒舟から大学を卒業するまで麻雀の勝ちはチャラにすると誓います」と書かれていた。実は、いいところのある奴だ。流石は進学校である。

 

 その後。彼は私を麻雀に誘うことは無かった。「勝ってもチャラ」だからだ。

 

 彼は一年の秋でクラブを辞めてしまった。

 

 私が三年の時、文化祭で落語をやっていると客席に彼が居た。その時は客が良く「会場がひっくり返るようにウケていた」。私が全国大会の決勝に残っていた頃だから、のっていたのだろう。

 彼は帰りがけ。「面白い!切奴さん(あの先輩)みたいだった!」と言って帰って行った。私にはこれ以上の褒め言葉はない。実は、当時、声を高い所から出して先輩の話し方をマネしていたのだ。やはり第一歩は模倣から始まる。

 

 彼の後ろ姿を見ながら…。私の頭の中では横浜銀蠅の曲がかがっていた。

 

 数年前。スポーツ新聞の一面で平々凡々の姿を見た。何と!阪神の試合の客席でバンザイしている。しかも、隣には、俳優の渡辺謙さんが写っている。

 彼は謙さんとは何の関係もないが、偶然、近くの席だった様だ。彼はドアップで謙さんより目立っていた。やはり、あいつは何か持っていた!

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「嗚呼!青春の大根梁山泊~放送業界編~」も出ました!こちらの文章は、今後も新原稿がアップされる予定です。

 

直木賞には程遠い、青春エッセイを皆様に…

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