放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

ゆずの「夏色」を聞いて、磐田市の坂を思い出した!!

 今、ラジオで「夏色/ゆず」がかかっている(春風亭一之輔「あなたとハッピー」)。「長い坂道」「下ってく」…。このフレーズで五十年前の静岡県磐田市の坂を思い出した。

 

 一つは、見附天神の急こう配のほぼ直線の坂だ。ここは、道幅が広く、境内へと続く参道なのだが、店などは無く、自転車で下れるのだ。人通りもほとんどない。

 小学校の頃。男子十人程でこの坂を自転車で「どこまでブレーキ無しで下って走れるか」という「チキンレース的」なことをしていた。

 もし、転倒すれば病院送りもありえる(それ以上もあり得る)恐ろしい遊びである。昔の子供は、この手の「危ない遊び」に参加しないと、仲間外れにされてしまう。

 

 私はビビりなので、いつも、先にブレーキをかけてしまう。しかし、トップの三人は五十メートルは先を走っていた。

 自転車の性能にもよるが、ブレーキ無しだと、坂の中盤でハンドルがガタガタする。私の自転車はプレーキが利かないので、すぐにリタイアとなる。

 トップグループは最新のディスクブレーキが付いている。小学生の戦いに「公平」などない。家庭の財力も合法なのだ。これで、子供達は「この世は平等でない」ことを知る。

 

 そして、問題は、この坂の終点が普通の公道で車が通っていることだ。つまり、ブレーキが遅れると車道に飛び出してしまうのだ。

 これは、確実に大事故となる。その事故地点までの距離と自分の自転車の性能を体感で加味しながら、車道の手前でピタリと止まるのがドライバーの腕である。

 

 まだ、Fー1が日本で放送されていなかった頃。あの坂は、僕達の鈴鹿だった。いや、一般道という意味では「モナコ・グランプリ」ならぬ「磐田グランプリ」だ。

 

 そして、坂の終点には駄菓子屋がある。そこで、瓶のコーラを抜いて表彰式である(実際は飲んだだけ)。

 

 学校や親に知れたら、確実に「天神様の自転車の坂くだり禁止令」が出るだろう。ケガ人が一人も出なかったのが、不思議なくらいだ。

 ちなみに、ゆずの「夏色」は駐車場に猫がいるが…。見附天神には怪物を退治した伝説の犬・しっぺい太郎が居た。

 

 さらに、もう一つ。

 

 磐田市の図書館から裏へ抜ける坂を思い出す。ここは、アスファルトが何カ所か段差になっている。つまり、車も自転車も通行できない。段差でジャンプしてしまうからだ。

 

 我々は小学生はこでローラースケートを楽しんでいた。

 

 この坂は危なくてローラースケートは出来なかったが、その脇に舗装された小道が沢山あって、ここを滑ると、スキーのノルディクの様に楽しいのだ。

 みんなでこの小道を走っていると…。一人が、あることにひらめいた!落ちていた太い竹を股に挟んで座ったのだ。竹を持って股に入れ、竹を後ろにすると、両足のローラースケートと尻の下の竹とで、接地面が3点になる。しかも、体重を竹にかけるとブレーキとなるのだ。

 

 そいつが言った。

 

 「これ、あの段差の坂滑れるんじゃないか?!」

 「えっ!!いけるかも?」子供たちの目が輝いた。

 「やってみるか!」

 

 全員が落ちている竹を使って、あの、殺人的な坂を下りてみることにした。

 

 これは「チキンレース」というより「力学の実験」である。支点と力点。竹の力でどれだけのブレーキがかかるのか?もはや「自動車会社の研究チーム」である。

 我が町は「ホンダ」「ヤマハ」「スズキ」の工場もあるバイク・車の本場だ。我々はもはや「下町ロケット」の開発チームの様になっていた(三輪バイクのトライク風)。

 

 意を決して滑るとスピードが半端でない。しかし、3点で支えられているので技術の差に限らず安定している。これは、ジェットコースター並の面白さだ!

 実際、私は初めてスキーをした時より、この時の方がエキサイティングだった。

 

 そして、体重を竹にかけると…。凄い!竹のしなりが利いて完璧なブレーキがかかるのだ。定期的にある階段の様な段差の度に「ジャンプ」するのもスリリングだ。まるで、ラジコンの車でレースしている様だ。

 さらに、この坂も終点は自動車も通る公道だが…。竹ブレーキの性能は素晴らしく。簡単に止まることが出来る。

 

 「うお~!」これなら、帝国重工もすぐ採用するだろう?(エッセイが妄想に入っている)

 

 ゆずの「夏色」の坂は、「♪ゆっくり下ってく~」だったが磐田の坂は激しく下っていた。ゆずは、真似すると危険なので「ゆっくり下る」歌詞にしたそうだ。

 何と大人だ!コンプライアンスがチャンとしている。しかし、磐田の小学生はコンプライアンスなどと言う言葉を知らない。知ってるのは「酢昆布」と「ライス」と「アイス」ぐらいだ(このくだりは、失敗でした)。


 とにかく、磐田の坂は我々のオリンピックだった!

 

 磐田出身の卓球・水谷準君、伊藤美誠ちゃん、団体も応援しているよ!元「坂下りオリンピック」の先輩としてエールを送ろう!

 

 

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