放送業界のお話と落研と私的な思い出

放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

磐田市体育館は文化の発信地・ドリフ、キャンディーズ、歌丸・小円遊・トークショー!

 四十六年程前の話だが…。私が小学校高学年から中学の頃。私の住んでいた静岡県磐田市では、コンサートチケットを買うという発想がなかった。

 

 勿論、コンサートなどは行われていたが、田舎なのでチケットを販売する店が無かったのだ。隣町の大都会・浜松(近隣で唯一デパートがある街)の楽器屋ではチケットが扱われていたようだが、イメージとしては子供が簡単に行ける場所では無かった。

 

 この街でコンサートチケットを手に入れる手段はダダ一つ。地元のスーパーで数万円以上の買い物をすることだった。

 一定期間に大量の買い物をすると、抽選で夢のチケットが二枚もらえるのだ。コンサートが開かれるのは、当時、芸能文化の発信地「磐田市体育館」だ。ここは、磐田人にとっては渋谷公会堂に匹敵する芸能の聖地だ。

 

 その証拠に、あの、山口百恵さんも磐田市体育館でコンサートを開き(スーパーの景品だが)、地元の有名ラーメン店「かにや」でラーメンを食べたとの噂が市内中を駆け巡り、店がパニックになった程だ。

 

 ちなみに、この店は後継者が無く、今は存在しない。私は大人になってから行ってみたが、何と! 店内は落語家の千社札が一杯張ってあった。百恵ちゃんのサインなどは一切ない。

 しかも、千社札が本物でメンバーが凄すぎる!志ん生、八代目・文楽、円生、小さん、柳昇、十代目・馬生、談志、志ん朝、五代目・円楽、小三治松鶴米朝、小文枝、枝雀、仁鶴…と夢の様なメンバーだ。

 これは、ハードな落語ファンに違いない! 私は店の人に聞いてみた。

 

 「落語好きなんですか?」

 「違うんですよ!先代が千社札が好きで、全国の交換会に行って貰ってきた千社札を店中に貼っちゃったんです」

 

 何と! ガッカリの返事が返って来た。千社札ファンとは意外だ。しかし、殆どが落語家だったので、実は、先代は落語好きだったのではないだろうか? 百恵ちゃんのサインが無いのに落語家の千社札を貼っているのだ。そうに違いない!

 そんなことを考えながら、千社札の写真を撮ったのを憶えている。

 

 話は戻るが…。私は磐田市体育館で数回、有名人を観ている。全て、友達の海野君のお母さんがスーパーで沢山買い物をして貰ったものだ。

 我が家ではチケットを貰ったことが無かったので、私は全て海野君経由のチケットで観に行っていた。

 

 思い出すのは、「ドリフターズ・ショー!」 あの!子供たちの大スター・ドリフを肉眼で観られるのだ。前日はなかなか眠れなかった。

 その時は、志村けんさんが加入した直後で、いかりやさんが新人・志村さんをいじりまくるショーだった。「俺達がもりあげて、スターにしてやったんだ!感謝しろ!」的なことをしめのトークでも言っていた。

 まだ、当時の志村さんは反撃はせず黙って聞いていた。確か、コントは無く、演奏と歌を少しとトークだった様な気がする。

 この時、前座として登場したのは、新人の頃のアン・ルイスさん。「グッバイマイラブ」を一曲歌っただけで去って行った。その後、出てこなかったのですぐに帰ったのかも知れない。

 初めて観る歌手だったが、都会には綺麗な人が居るものだと思った。

 

 そして、やはり海野君に貰ったチケットで観たのが「キャンディーズ・コンサート」だ。

 新曲「やさしい悪魔」をリリースしたばかりで、お客さんは指でデビルの形を作って、♪ああ~!デビル~!と歌った直後、客が「デビル~!」と両手の指で作ったデビルを頭上にあげるのだ。

 キャンデーズの指導で、この練習をしていると、ミキちゃんが私の方を見て言った!

 

 「こら、そこの男の子! 指がキツネさんになってるよ! デビルはこれ!」

 と直してくれた(多分、おきまりのネタだと思うが…私は嬉しかった)。

 正しいデビルの形は、人差し指、中指、薬指を折って、親指と小指を立てる形だ。私は人差し指と小指だけを立ててキツネを作っていたのだ。

 

 「おおおお~!キャンディーズ!最高~!これが本物のデビルだ!」

 私のテンションはマックスだった。

 

 しかし、それ以外まったく覚えていない。他の曲は何をやったのだろうか?「年下の男の子」もやった筈だが…。子供の記憶などいい加減なものだ。

 

 そして、またも海野君に貰ったチケットで観たのが「歌丸小円遊・二人会」。

 「笑点」で大人気の師匠二人は、悪口を言い合うライバルとして全国的な人気となっていた。磐田市民体育館での出し物「山口百恵」「ドリフターズ」「キャンディーズ」「歌丸小円遊」の並びを見ても、いかに二人の師匠がスーパースターだったかが分かる。

 

 観に行くと、この会に落語は無かった。座布団にも座らなかったと思う。舞台中央にスタンドマイクが一本あるだけ。

 小円遊師匠が立ちの漫談で「笑点」の裏話や歌丸師匠の悪口を言うと、舞台袖から竹箒を持った歌丸師匠が怒って追っかけて来る。

 小円遊師匠は、逃げ去ってしまう。すると、そのまま、歌丸師匠が小円遊師匠の悪口を始めるという構成だ。

 悪口がマックスになった時。今度は小円遊師匠がチリトリを持って歌丸師匠を追っかける。歌丸師匠が逃げて、また、小円遊師匠が今の歌丸師匠のトークの言い訳をして逆襲する。また、歌丸師匠が追ってくる。

 

 会場は大爆笑に包まれた。客席には誰も「落語が観たかった」「大喜利が観たかった」等と言う人は居なかった。

 二人は、肉眼で喧嘩を見られただけで涙ものの人気者だったことが良く分かる。

 

 磐田市体育館での芸能人体験…。私の放送作家としての礎は、ここからなのかも知れない。全て貰ったチケットだが…。

 

 ちなみに、海野君は地元国立大を出て教師に成ったらしい。同じライブを観ても人それぞれ違うものだ。

 

 

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