放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

チョット怖い!?近所の銭湯!

 なんとなく銭湯に行こうと思った。近所に昔ながらの銭湯があり、数年前に行ってみたら…。今時珍しい昔ながらの刺青のオジサンが入っていた。タトゥーとは別物の江戸風の図柄。鳶の頭か本職の怖い人としか考えられない背中一面の見事に彫り物だ。私は恐いながらも…。「これぞ、昔ながらの銭湯…いいなー!」と思ったものだ。

 

 正月だし、少し江戸っぽい体験してみるか!とばかりに、極寒の風を切ってリュックを背負い、自転車で銭湯へと向かった。

 思った以上に寒い!米軍使用の温かいジャケットで「俺達の旅」の中村雅俊を気取って向かう銭湯。もう、青春真っただ中の気分である。

 

 やっと、銭湯に着くと…。あれ?電気が付いていない。張り紙があり、「1月4日、5日はお休みします」と書いてある。

 私はネットで調べて営業中を確認して行ったのだが…。古い銭湯のオヤジさんはネットなど更新しないのだろう。多分、親戚の若者がページだけ作ってほったらかしのパターンだ。

 私は自転車で風にあおられ、冷え切っていた。このままでは帰れない。隣町の銭湯へ行くことにした。

 

 走ると意外と遠い。10分ほど走らせると全身が冷え冷えである。入り口の靴箱に入れると鍵の札をとってもフタが閉まらなかった。危ない!自慢のナイキ・ジョーダンを盗まれるところだ。古い銭湯は気を抜いてはいけない。開いている下駄箱は三つほど。かなりの満員なのか?

 入ると昔の番台ではなく、フロント風で500円払ってから「男湯」と「女湯」の入り口に入る。そして、入ると…。そんなに混んではいない。五人程だ。無数にある下駄箱は全部使っていない様だ。または女湯だけ満員か!いや、そんなことはなさそうだ!古いだけでなくロッカーのメンテナンスが無く、ポンコツなのだろう。

 着替えを入れるロッカーが…あれ?小さい!リュックとジーンズ、ジャケットを入れると押し込んで詰めないとフタが閉まらない。やはり、ポンコツだ!

 

 そして、洗い場に入ると…。ギョッとした!何と!刺青のオジサンが二人も体を洗っている。江戸の本物の刺青の人だ。

 そこで私は気づいた。隣の刺青御用達の銭湯が休みなのだ。そこで、私と同じようにこの銭湯に遠征して来たに違いない。

 ある意味、私の「怖いもの体験」は実現できたわけだ。

 

 絵を描いたオジサンは笑顔で隣の普通のオジサンと話している。その笑顔が逆に怖い。そして、湯船に入ると…。ぬるい…。狭い!電気風呂はしびれすぎる。ジャグジーに入ると…。これは熱い!常連はここで温まって仕上げる様だ。しかし、狭い!三人入れば満員である。刺青のオジサンとも距離が近い。汗がどっと噴き出る。そうか、これで温まるのか?!(絶対違う!)

 

 私は30分程で逃げる様に銭湯を出た!ああ~!面白かった!また行こう!