昭和３６年生まれの私は、母親から「お前が初めて観た映画は「１０１匹ワンちゃん大行進」だよ！」といつも言われていた。まったく記憶にないが親が言うのだから初めての映画で間違いない。エンタメに興味のない親がディズニー映画に、よく連れて行ったものだ。多分、偶然割引券などもらったのだろう。
初めて読んだ漫画は家にあった「鉄腕アトム」と「鉄人２８号」である。まだ、字が読めないので、毎日、絵を見て楽しんでいた。手塚治虫さんの映画の様なカット割りには気づかず、だだ、戦闘シーンの絵を眺めていたと思う。
父親は専売公社勤務だったが、公社に出入りの本屋さんが居て「鉄腕アトム」「鉄人２８号」の数話を集めた大きな冊子（シール付き）を父親が毎月持って来た。同時に、「学習」と「科学」さらに「小学〇年生」も自動的に父親が持ち帰るものだった。
親の話では、私は子供の頃「畠山みどりが好き！」と言ったそうだ。まったく記憶にないが…。それを聞かされた幼稚園の時…。耳を疑った。きっと、テレビを見ながら親が「この人好き？」「好き！」と誘導尋問的に言わされたのではないだろうか。
小学校低学年の頃。初めて肉眼で観た有名人は浜松のデパート「松菱」の屋上で観た平浩二さんである。「バスストップ」を唄っていたのを今も覚えている。子供の好む曲ではないが「有名人」「芸能人」という言葉に興奮したのを思い出す。
初めて牛肉のスキヤキを食べたのは、小学５年ぐらい。我が家ではスキヤキは豚と決まっていた。ある日。「どうやら、世間ではスキヤキは牛肉らしい？」と知った私が「食べたい！」と言ったのだ。
実際に食べてみると…。家族の意見が一致した…。「触感が気持ち悪いね！豚の方がいい！」。習慣とは恐ろしいものだ。初めての牛の触感に口がついて行けなかった。田舎の家族にグルメと言う言葉はない。納豆に味噌汁が一番旨いのだ。
初めて河豚を食べたのは２４才ぐらい。当時の師匠に六本木の有名店に連れて行ってもらったが…。私は子供の頃から母親に「河豚は毒に当たって死ぬから絶対に食べちゃダメ！」と言われていた。ご馳走になったのに「恐々」食べるので旨さは分からなかった。会計の時。師匠が万冊の束を渡していたのに驚いた。高すぎる！河豚はいらないから、「私に１万円くれ！」と言いたかった。
初めてテレビのスタジオ見学をしたのは…。多分…名古屋の中京テレビ。師匠Ｍが構成の音楽番組「５時ＳＡＴマガジン」。その日のゲストはBOOYで一曲生歌の演奏もあった。しかし、私はBOOYを知らず…。怖そうなバンドだ！エレキの模様が斬新だ！としか思わなかった。後で凄いバンドと聞いた。今思うと自分でもあきれる。
初めて車を買ったのは、２０代後半。仕事で一緒だった作家が中古のフェアレディーＺに乗っていたのを見た私が羨ましがっていると「これ、中古で３０万でした」とのこと。横から先輩の作家・植竹さんが「俺の大学の同級生が車屋で紹介してやったんだよ！小林にも紹介しようか！良い車探させるよ！」。
私は喜んで、その車屋へと行ってみた。確か国分寺だった。現場に行くと、そこは中古車屋ではなく日産のディラーである。嫌な予感だ！
私が「３０万でフェアレディーＺありますか？」というと…裏の駐車場に連れて行かれて「３０万じゃ、やっと走る軽しかないよ！」「ええ~！話が違うんですけど…」「あの時のフェアレディーは、たまたま下取りしたやつなんだよ！うちは新車販売だからね」私は仕方なく返ろうとすると…「あっ！今、下取りしたばっかりの、これ、どう？」店の表の路上に新車を売った直後に下取りした白い車があった。当時、車にうとい私は「これ、何ですか？」「知らないの！クレスタ！エンジンはトヨタ２０００ＧＴと同じ物を使ってるんだよ！」
何だか分からないが「トヨタ２０００ＧＴのエンジン」と聞けば、なんだか心地いい。ボンドカーは私も知っていた。形はオッサン臭いと思ったが…。「３０万ならいいか」と思い「じゃあ、買います」と行ってしまった。すると「８０万でいいよ！」…（心の声）「３０万じゃないんかい？」
結局、買うことになった。後で暴走族に人気の車と知る。買って１週間で右の後ろをこすった。５年程乗ると…。エンジンが暴走してアクセルを踏んでないのに、フルに踏んだ時の様に回転数が上がるようになった。信号待ちで爆音となり本当に族車みたいだ。ディーラーで見てもらうと…。何と！原因は不明！整備士がみると普通の音に戻っている。私が乗ると道に出た瞬間に爆音だ！
我慢できず買い替えた。下取りは３万円だった。
私は次に買ったマツダ・ロードスターＮＡに、今も乗っている。３０年以上だ。今年だけで修理に１００万近くかかったが、現在は調子がいい。座席がボロボロなのが気になるが…。張替えは今度にしよう。
次の初めては何だろうか？
