毎月。下北沢のドーンという小屋で「鈴々舎馬るこ独演会」を開催している。この会には隔月で関東の大学落研生が前座の前のオープニング・アクトとして出演している。
先日は二松学舎大学の四年生(女子)が来ていた。なんとなく、落研の特性など取材がてらに話していると、この女子学生の喋りに火が付いた。
なんとも饒舌で、次から次へと話題が出てくる。いつの間にか、私は聞き役というより公演を観に来た観客の様になってしまった。
彼女は他の大学の落研の歴史にも詳しく。「早稲田の落研は昔は研究だけで、白酒師匠が学生の頃、演技が始まった(甚五郎師匠は同期)。同じ早稲田の寄席演芸研究会は最初は落語の演者が主流だったのに、今は漫才やコントばかりになってしまった」。
私も知っている情報だが、この年代で知っているのは珍しい。そのまま、聞いていると…。「青山学院は落語をやる演者がなくなったことがある」という会話になった。
それは私も知っていたので「ドラマ「タイガー&ドラゴン」が放送された時。落語をやりたい学生が現れて、OB会長の料亭花柳さんに「落語の練習の仕方を教えて下さい」と電話があり、出向いて教えた」ことを伝えた。すると…
「青学の落研に今度、料亭花柳を継ぐ学生が現れたんです。昔の花柳の橘右橘さんが襲名を許可したらしいですよ」。
この学生。何でよその襲名まで詳しく知っているのだ。しかも、ここで登場した名前、橘右橘さんは寄席文字の師匠で鈴本演芸場の文字を担当する大御所。しかも、70才はいこうかという人物だ。私が学生だった40年前。すでにOBで右橘さんとして落語会に顔を出していた人である。何故今の学生が知っているのだ?
料亭花柳については、私も四人面識がある。六代目・円楽師匠。右橘さん。私が一年生の時4年生だった今も天狗連で活躍する彦柳さん。そして、私の一年上の芸術院せん生さん。この人は、大阪のフリーター・アナ・森たけしさんと漫才コンビ「青山・一浪・二浪」を組んでいたボケ担当である。
そこで、花柳という名は、株家窓馬(漢字はうろおぼえ)と並ぶ青学の大名跡であることを教えると…。
彼女は近年に継いだ窓馬は今お笑い芸人として活躍していることも知っていた。
私がそんな情報を補足していると…。今度は歌舞伎の話になった。私は歌舞伎は一度しか生で見たことが無い。文楽も生は一度だけだ…。今度「猪瀬山女定款」を観ると言う…。偶然、私が一度だけ観た文楽の演目である。しかし、内容について話されると何だか分からない。もう、ストーリーを忘れているのだ。そこは、知ったふりをして受け流した。
完全に話について行けない。もう、立場は逆転だ!いつの間にか、先生を見るような目で講義を聞く私…。単位はとれるのだろうか?
着物姿のこの女子大生が、段々と…。お江戸に詳しい・堀口茉純さんに見えて来た。62歳にして22才の女子大生に教えをこうとは…。人生は楽しいものだ!
彼女は、もう、就職が決まっているそうだ。多分、面接でも喋りまくったのであろう。名前は二松亭爆竹(漢字は予想)と言っていた。
あっぱれな学生である。
宣伝。ネット書籍「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語~」上・中・下
「嗚呼!青春の大根梁山泊~放送業界編~」も出ました!こちらの文章は、今後も新原稿がアップされる予定です。
直木賞には程遠い、青春エッセイを皆様に…
安いです。上→200円。中→300円。下→300円。
「放送業界編」800円(高そうに見えますが、上中下に分けていないので、枚数と値段は同等です)
「青春落語バカの楽しいエピソード」有名劇団の主催者や脚本家、演出家絶賛!
脚本家の穴吹一朗君も稲葉一広さん、神奈川の高校の副校長・木馬君も呆れたエッセイ!
↓
https://note.com/bakodayo1874basu