放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

映画「の・ようなもの」

 私が大学生の頃。森田芳光監督のデビュー作・映画「の・ようなもの」が公開された。主演は伊藤克信さん。当時、普通の大学生だった。

 この映画は入門仕立ての落語家の青春物語だ。主人公は落語がヘタな前座という設定。そこが、ダメな落研部員にとっては心を揺さぶられる設定だ。

 

 この作品には、春風亭一之輔さんの大師匠・春風亭柳朝師匠や、当時、若手で注目株の三遊亭楽太郎師匠(現・円楽師匠)も出演している。

 

 私が大学一年で、落研に入った直後。日本テレビで「第三回学生落語名人位決定戦」が放送された。この大会に、主演の伊藤克信さんは、城西大学落研で出場していた。

 伊藤さんは、栃木訛りのハチャメチャな落語で「敢闘賞」(三位)を受賞。学生の本領発揮ともいえるルール無視の面白さで話題となった。

 この時の優勝者は法政大学で、のちに、上方落語でプロになった方である(故人)。

 

 森田芳光監督は、日芸落研出身。落語のヘタな主演を探している時に、たまたま、この特番を見ていて「こいつだ!」と、鶴の一声で主演が決まったそうだ。

 まるで嘘の様なジャパンドリーム!相手女優は秋吉久美子さんという夢の様な話だ。

 

 この時の伊藤克信さんの落語をテレビで見た私は…。「あれ?うちの先輩と似てるな!」と思った。

 その方は、二年先輩の頭下位亭マー坊さん。栃木訛りが酷く、どんな古典落語をやっても、語尾が上がってしまう⤴。古典落語は基本⤵語尾が下がらないといけないのだが、この先輩は、そんなことはお構いなしで自由奔放。

 人間の魅力があって、とても面白い人だった。

 

 しかし、訛りがマイナスとなって大きなホールの落語会に出演することはなかった。

 

 ある時。國學院大學落研の三年先輩・若木家元治ー(ガンジー・現・社会人落語家・元翁)さんが私に言った。「マー坊は、東海さんでは日陰の存在だけど…うちだったら、大スターだよ!あの、訛りは面白いよ!」と、言っていた。

 「ところ変われば品代わる」と言うが、まさに、その通りである。低迷していたプロ野球選手がトレードされたとたんに大活躍するのを連想させた。

 マー坊さんは今や故人となってしまったが…。「の・ようなもの」を思い出すと、いつも、マー坊さんの顔が浮かぶ私である。

 

 あれから、三十年以上たった、ある日。春風亭一之輔のラジオ「サンデーフリッカーズ」(JFN)のゲスト(電話ゲスト)に、伊藤克信さんが登場した。

 

 実は私がブッキングしたものである。その時、「の・ようなもの」の続編が公開されたのだ。私は伊藤さんと面識はなかったが…。ミラクルが起きた。

 伊藤克信さんの所属事務所の社長が、青山学院・落研の後輩だったのだ。私は事務所の社長に直接電話してゲストをお願いした。

 お陰で新作「の・ようなもの」の試写会も観せて頂いた。

 

 私の中では、亡くなったマー坊さんの栃木訛りと伊藤さんの訛りがシンクロして聞こえた。

 

 私は今月六十才になる。この歳になると…故人の話が多くなってしまう…。

 

 

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直木賞には程遠い、青春エッセイを皆様に…

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