小学生の頃。クラスに歯医者さんの息子・S君がいた。大きな病気で長く休んでいたのだが、全快してクラスに復帰していた。
クラスのみんなで、S君の家に遊びに行くことに成った。実家が歯医者さんということは知っていたが、私の知る歯医者さんとは少し違っていた。
私の家からは少し遠い地域なので、普段はあまり行ったことが無い場所まで、友達と自転車漕いで訪問した。
友達に「ここだよ!」と言われて玄関を見て驚いた!門を入ると…プールがある。
「えええ~!日本にこんな家があるのか?海外の映画でみるやつだ!」
今、思えば小さなプールだが、コンクリートでできた循環施設もついている本物のプールである。夏になるとS君は、このプールで涼をとるそうだ。
呼び鈴を鳴らすと…。お姉さんの声がする。「S君の友達です」と告げると「どうぞ~!」とお姉さんが出てくる。
Sの部屋に通された私は言った「お姉さんが居るんだ?」「あれ、お手伝いさんだよ!」「えええええええええええええええ~!お手伝いさ~~~ん!外国映画に出て来る執事みたいなやつだ~!」
市営住宅に住む私には、もはや、宇宙人と会っている様だ!未知との遭遇である。
そして、部屋を見ると…。凄い光景が目に飛び込んだ!「うお~!」もの凄い高いプラモデルの箱が積まれている。
その一つはタミヤの「フェアレディーZ」の一番高くて大きいものだった。これは、大人でないと買えない最高級品である。
「スゲ~!プラモデル持ってるね!完成品みせてよ!」
「えっ!作ってないよ!」
「作ってないの?」
「面倒で作れないよ!ママが勝手にオモチャ買ってくるんだけど…ほとんど遊ばないよ!」
見ると、ゲームやラジコンなどのオモチャも無数ある。しかも、当人はあまり興味がないようだ。
私は街のオモチャ屋で、S君のママに遭遇したことがある。ママは一人で店に入って来た。「え~と!あれと、これと、それと、あの、プラモデル、それからあれとあれ、頂戴!」
まるでマイケルジャクソンの買い物の様である。S君は定期的に、このパターンでオモチャの支給をうけていたのだ。
プラモデルに興味がないのも少し分かる気がした。何でもあり過ぎると煩わしいものなのだ。
話は戻るが…。S君が言った。
「麻雀やろうぜ!」
「えっ!麻雀なんてやったことないよ!」
「やれば出来るよ!」
私は初めて麻雀というものをした。多分、父親の趣味なのだろう?麻雀部屋が別にあった。我々が成れない麻雀を楽しんでいると…。コンコン!とノックがあった。
S「どうぞ!」
お手伝いさん「おやつですよ!」
私&友達「おおおおおおお~!ケーキに紅茶だ~!クリスマスでもないのに…海外の映画で出て来るやつだ~!」
ハリウッド映画の様に振舞うS君の横で、麻雀をする私はミスターBOOの様に間抜けだった!
今、我が家の近所に中古でプール付きの物件がある。つい、覗き込んでしまった。ショールームにもなっている様だ。
プールには水がなみなみと注がれている。オシャレだ!
しかし、ここを売り出してから数年たつが、買い手はいない様だ。怖くて値段も聞けないが…。S君の家を思い出す。
知人の話では、夏場プールを稼働すると電気代が凄いらしい。日本の庶民にはプールは流行らない様だ。
私は今も賃貸物件を事務所兼自宅にしている。ハンモックに寝るぐらいがちょうど良いのだ!
ちなみに、S君は弟が歯科医となり、本人は経理担当だという。今は建て替えてさらに大きなプールがあるのではないだろうか?多分、フェアレディーZは今も作っていないだろう?
一度、見に行ってみたいものである。
今の私なら、あの一番高いフェアレディーZのプラモデルを買える。作ってみようか?そのきになれば、本物の初期型Zを買うことも可能である。
でも買わない。二台持つと駐車場代がモッタイナイ!(じゃあ、買えないんじゃね~か!)
そんな意味も含めて、下のコラムを読むべし!「明日のための、その1・とりあえず買うべし!」と丹下段平のおやっさんが言ったとか、言わないとか?
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直木賞には程遠い、青春エッセイを皆様に…
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