東海大学落語研究部の後輩。昔昔亭喜太郎君の独演会を観に中野へ行った。彼の独演会は初めてだ。受付には彼のカミさんが居た。その昔…関東落研連合という落研を束ねる団体の創設者。桜美林大学落研ＯＧの「ぽち」（亭号は不明）だ！
彼女は、学生時代によく東海大の落研に顔を出していた。私がＯＢで様子を見に行くと、出番でもないのに着物姿の女子大生に声をかけられた。みると、それが「ぽち」で、桜美林大なのに東海大の見学によく来ているそうだ。着物が好きで家から着物で小田急線に乗って来たという。
「ぽち」は言った。「私、春風亭昇太さんのファンなんです」。「そうか…でも、もう昇太さんは来ないかなー！１０年前なら、たまに来たかもしれないけど…」２０年程まえの会話だと思う（年代は適当です）。
ぽちさんは、その後、関東落研連合を作るために、各大学を訪ねて説得。抜群の社交性とパワーでほとんどの落研が加入する大きな団体の会長となった。
気の弱い学生の喜太郎君など、赤子の手をひねるようなものだ。うちはクラブごと織田信長の様な「ぽち」の家臣となっていた様だ（昨日「どうする家康」を見た影響）。
関東学生連合が参加する「学生落語の大会」を笹塚まで見に行ったことがある。その、本選大会には「ぽち」も出ていた。
勝ち抜いて最後に残ったのが、喜太郎（頭下位写亜）、日芸から今の入船亭扇橋師匠、さらに、東海大がもう一人（トムと言ったかな？）の三人。
この時。ダントツに上手かったのは日芸。「つる」「野晒し」をやったが、もうすでにプロの口調とテンポで大ウケしていた。
喜太郎君は活舌があやしいのが気になったが…。自作の新作で爆発するようなウケ方で優勝した。
客席投票で勝敗を決める方式だったので。私は、つい日芸に一票入れてしまったが、学生達の評価は違っていた。
あとで「よく、あんなに上手い奴に勝ったね！」と言うと、うちの学生が一言。「客席の半分以上はうちの応援団なんです」。何と！ガッカリする事実である。
そんな喜太郎君の今の姿は、当時とはまったく違う。言葉が聞きやすくなり無駄な動きも無い！どこか可愛さがある。流石はプロである。彼は入門が遅かったのでまだ二つ目だが、そろそろ真打が見えて来ると思う。
「片棒」と新作のショート落語を数本連続してやったが、どれもバカバカしく面白い。若手大喜利では「ダメなフリ」をしている彼だが本当は腕と自信、フラのある男である。
帰りにエレベーターの前で、若い女性に声をかけられた。「小林さんですよね」聞くと、今の東海大落研の学生で受付の手伝いに来たそうだ。確かに、受付に「ぽち」ともう一人誰か居たのを思い出す。
しかし…時代は変わった…。我が部はＯＢになっても高座名で呼ばれるのが普通だ。普通なら「黒舟さんですか？」または「三代目の馬好さんですか？」と言うのが定石である。今は本名が主流なのかも知れない。
少し話すと、彼女はクラブの６０期だと言う…。私は２０期。多分私は親より年上だ。私は普通に学生と友達感覚で話せるが…。むこうは老人ホームの慰問に近い感覚である。時の流れにショックを感じながら…。
「明日、ラジオのゲストに國學院大落研の一つ先輩が来るんだよ！それが、嬉しくてね！」と伝えたが…。東京では聞けない「サンデーフリッカーズ」である。彼女は聴かないだろう。映画「大名倒産」の脚本家だと伝えておいた。こちらは観るかもしれないからだ…。ついでに、東海大のＯＢにも脚本家が居て「大河ドラマ」をやったこともあることを教えてあげた。人数の少ないクラブが潰れない様に、少しでも誇りを持って欲しかったのだ。
先週は昔を思い出す「懐古週」だった様だ…。他にも昔の作家仲間と会ったり、他の大学のＯＢ、ＯＧとメールをした。
今週から、現実の普通の生活に戻らねば…。思い出では生活できない。
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