今、ふと思い出した。40年前日本テレビの特番「第五回全日本学生落語名人位決定戦」の決勝に出た時のこと。会場は大手町の日経ホール。プロの落語会が開かれる会場だ。
大会当日。私の前に演じるのは大東文化大学の落研だった。私は、前のネタを知りたくて「今日、何やるんですか?」と聞いてみた。すると「葵のご紋」です。と答えた。私の知らない噺だが…。つい見栄を張って「ああ…渋い噺やりますね…」と知ったかぶりを決め込んだ。
後で「東海大学の落研は知識がない」と言われないためのとっさの嘘だった。
その学生の「葵のご紋」と言うネタを、舞台袖で見ていると…。あれ?新作落語だ…。水戸黄門と助さんのドタバタ・自作の創作落語だった。
私はとても恥ずかしい気持ちで次の出番を待つことになった。やっぱり、見栄は張るものでは無い。しかし「葵のご紋」なんて、古典にありそうな名前付けるなよ!「珍説!水戸黄門漫遊記」とかにしてくれよ!と思ったが後の祭りである。
今、仕事の打ち合わせで私の知らない英語やフランス語や専門用語を交えて説明する人がいる。私もスタッフもなんとなく…「ああ!なるほど…」などと言っている。
やっぱり、恥ずかしくて聴けない。分からないので全く違う「こういうパターンはどうですか?」と言ってみたりする。さっきの用語の意味を知るヒントを探る為である。
相手は、私がプレゼンを「却下した」と思ったのか「なるほど、それで行きましょう」と言ったりする。私は心の中で「えっ!さっきの面白かったかもしれないのに…。何で説明してくれないの?」と焦りまくる。
しかし、別のパターンで決まってしまった。仕方ないので業界用語やマニアックに落語用語で補足説明する。すると向こうは、言葉が理解できずに「ああ!なるほど…」と言っている。
結局、両方共相手の説明が分かっていない…。それでも、やってみると成功する時があるから、世の中は分からない。
そして、お互いに言う。「思った通りの大成功ですね!」
「結果良ければ全てよし」である。
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