放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

戦争と母親!

 私が小学生の頃。親戚や家族で地元の天竜川の河原で遊んでいたことがあった。オジサンが作ったエンジンのラジコン飛行機を飛ばした時かもしれない(記憶は混ざっているかも?)。

 

 50年程前のことなので、ラジコンはエンジンしかなかった。それだけに、墜落すると模型とはいえ大事故となる。機体は大破するし、エンジンの爆発もありえるのだ。

 

 オジサンの飛ばすエンジン飛行機は、離陸して急上昇すると…すぐ、急降下して大破した。

 たったの一瞬で、親戚中が集まったイベントは終了である。

 

 一同、呆然としていると…。私の母親(昭和七年生まれ)が空を見上げて「あっ!いやだ!」と、走り出した。

 「どうしたの?」

 「ほら!あれ!嫌だ!」

 

 見ると、空にカメラフィルムKの飛行船が飛んでいる。丁度、我々の真上を通過しそうだ。母親は、自分の場所を移動して「まだ、こっちへくる」と悲鳴をあげている。

 

 親戚一同が「何が嫌なの?ただの気球じゃない!」というが、母は「あの丸い頭、グラマンみたいなのよ!」

 グラマン…。第二次世界大戦で活躍したアメリカの戦闘機である。気球の丸さは、B-29爆撃機の様な気もするが…(B-29ならボーイング社である)。

 母親は、空襲の爆撃機グラマンと憶えている様だ(私もタミヤのプラモデルの知識だけなので不安だが?)。

 そして、母親は右に行ったり左に行ったり。どこに逃げても「自分に向かってくる」と泣きそうだ。

 

 空を飛ぶ気球から、徒歩で逃げても同じである。その辺の当たり前が分からないのが、この世代の人達だ。

 

 私は「何でそんなに怖いの?」と聞くと…。母親は「空襲の思い出ではない」と言う。

 「えっ!違うの?」

 

 話を聞くと…。子供の頃。畑にいると…。一機の戦闘機が急降下して弾を打って来たそうだ。近くに日本兵はいないので、完全に民間人狙いである。

 それも、わざと当たらない程度の場所を撃って、米兵が楽しんでいたそうだ。

 その戦闘機は、撃った後、超低空で戻って来て、母親に向かってニコっと笑ったのが見えたそうだ。

 その恐怖が、飛行船を見ると蘇るのだそうだ。静岡県磐田市という「世界の片隅で…」も、こんなことが起こっているのだ。

 しかし、何故、戦闘機が畑の空に居たのだろう?日本本土で戦闘機の戦いはあったのだろうか?ひょっとすると、敗戦後、進駐軍が日本の娘をからかったのかも知れない。

 

 しかし、この話を聞くと、やはり、戦闘機なので飛行船の頭とは似ていないと思う。絶対B-29である。B-29は爆撃機なので低空飛行はしないと思うのだが…。

 母親には、そんなことを言っても通じない。

 

母「そんなことは、どうでもいい!グラマンの頭は嫌なのよ!」

 

 私は子供の頃。プラモデルが好きだったが、アメリカの戦闘機を作らなかった。なんとなく、母親を気にしたのかもしれない(いや、格好つけて書いてしまったが偶然かも知れない)。

 

 まあ、現在も母は存命ですが…。コロナ禍の介護病院で面会はモニターで週に一度十分だけなのだそうだ。

 

 今、思いだしたが…。二十年程前。「オジサンがラジコンのエンジン、とってあるんだけど、いらないか?」と言っていた。即答で「いらないね!」と言った私である。

 

 

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