サッカーワールドカップの一次予選(2021)を見ていたら、「日韓ワールドカップ」の思い出が蘇った。
日本が一次予選を初めて突破した記念すべき大会だ。中田、稲本、等が輝きを見せた、あのワールドカップだ。
サッカー大国・静岡県生まれの私としては何としても「チケットが欲しい!」そこで、早速、抽選に応募したのだが…。全然当たらない。
友人の中にも「当選者」は出ず、ほとんどあきらめていた。
そこに、電話がかかって来た。國學院大學・落研の二年先輩・往復亭びん太さんだ。彼は、淡路島の地方公務員。何故か、私と仲が良く、地元の名産を送ってくれたり、東京への出張の時飲んだりしている仲だった。
びん太「俺、ワールドカップのチケット当たったぞ!一緒に行こう!」
私「凄い!本当ですか?何戦ですか?」
びん太「ドイツ VS カメルーン戦だ!」
これは、本当に凄い!ドイツには大会屈指のゴールキーパー、オリバー・カーンが居る。そして、カメルーンも世界的な選手の宝庫だ。
私「よく、当たりましたね~!」
びん太「サッカーに興味ない知り合いにも頼んで、十人分応募したんだよ」
私「じゃあ!確率は十分の一ってことですか?」
びん太「それが、全部当たった!」
私「ええええ~!十試合観れるんですか?」
びん太「いや、十人全部が「ドイツ VS カメルーン」で応募したから、他はキャンセルだ!」
私「先輩!馬鹿じゃない?!」
びん太「だって、全部、当たると思わないだろう?」
ひょっとすると、ワールドカップの抽選は地域性もあったのではないだろうか?関東の知り合いは誰も当たらなかったからだ。
淡路島の様な色のある地域は、当たりやすかったのかも知れない。
チケットは四枚あるので、私は春風亭昇太さんに電話した。
「ドイツ VS カメルーン 行きませんか?びん太さんが当たったんです」
昇太「絶対行く!凄いの当たったな!四枚あるんだよな?あと一枚、俺の知り合いにくれ!」
びん太さんは友達が居ないので、問題なく話はまとまった。
試合は静岡県のエコパスタジアム。ワールドカップの為に作られた競技場で、吉田拓郎の野外コンサートで有名な「つま恋」の近くである。
駅で待ち合わせすると、昇太さんはビデオカメラを持って登場。自撮りで現地レポートを撮っている。聞くと、どこかの番組で使う素材を自分で撮っているそうだ。
そして、横に背の高い男が来ていた。みると、落語家を追いかける写真家で有名な橘蓮司さんである。
四人はワクワクする胸の高鳴りと共に、会場へと入った。試合中盤。ドイツのオリバーカーンがゴール前の一対一のシュートを、いとも簡単に片手で止めた!
「おおお~!」相手選手をあざ笑うかのような落ち着きだ。これは、格が違う!
そして、ドイツの得点の時。びん太さんが叫んだ!「オフサイドや!」(関西弁)
判定は得点だったが「絶対オフサイド」と譲らない。
この方は、一つ気になると、そのことをずっと言うタイプでめんどくさい!
我々は「はい!もう、それは終わったから!静かにして!」と、適当にいなしていた。
すると、昇太さんが客席のカメルーンの応援団の動きに気づいた。何と!不思議なリズムと共に「お祈り」的なものを始めたのだ。
それは「呪いの儀式」にも思えた(真相は分からない)。
昇太「あれ!ドイツに呪いかけてるんじゃないのか?」
私「面白いですね!絶対、呪いの儀式ですよ!」
びん太「さっきのは、オフサイドだ!」
昇太「びん太!うるさい!それは、もういいよ!」
私「カメルーンの皆さん!びん太を呪ってください」
びん太「うるさいよ!今、先輩を呼び捨てしたな!」
空気が読めないびん太さんは、チケットを当てた本人なのにボロクソである。それが、我らの落研のパターンなのだ。びん太さんも、その空気を楽しんでいる。
今、気づいたが…。私はこの時の写真を持っていない。プロの写真家の橘蓮司さんが居たのに、写真は撮っていなかったのだろうか?そういえば、カメラ持っていなかったような気もする。あの方は、落語家しか撮らない人なのかも知れない。
その後。放送作家の後輩。斉藤君から電話があり、横浜の「エクアドル VS クロアチア」戦のチケットが手に入った。この時は、斎藤、私、昇太さん、作家の先輩の下村稔先生(サンフリにも出演した「立教・プロレス研究会」の一期)で観戦した。
昇太さんが、エクアドルのサポーターの中に入って「エクアドルー!」と叫ぶと、全員が昇太さんを囲んで叫び出した!「エクアドル!エクアドル!」。私は、その写真を撮った。ドイツ戦の反省を生かしてカメラを持参したのだ。
さらに、後日。ある方から電話があり「二人行けるぞ!」と、静岡・エコパの「ロシア VS ベルギー」戦のチケットを貰った。
私は初めて実の兄貴と一緒にサッカーを見に行った。ロシアとベルギーは日本と同じグループ。同じ時間に日本の三戦目が行われていた。つまり、私は日本戦をテレビで見ていない。
そして、エコパの会場で、日本に点が入ると客席が沸いて「日本の勝利」を知った。
この時の試合。実はロシアは引き分け以上で決勝トーナメント進出。ベルギーは勝てば進出というガチの試合だった。
途中まで同点で最後にベルギーが決めた試合だ。
面白かった!まさか、ワールドカップサッカーを三試合も観られるとは、幸せ者である。自分では一枚も当てていない。
これからも、他力本願で生きて行こうと思った、私である。
「僕と落研の物語」や「放送業界編」には、びん太さんも登場します。しかし、本人は読んでいない!
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「嗚呼!青春の大根梁山泊~放送業界編~」も出ました!こちらの文章は、今後も新原稿がアップされる予定です。
直木賞には程遠い、青春エッセイを皆様に…
安いです。上→200円。中→300円。下→300円。
「放送業界編」800円(高そうに見えますが、上中下に分けていないので、枚数と値段は同等です)
「青春落語バカの楽しいエピソード」有名劇団の主催者や脚本家、演出家絶賛!
脚本家の穴吹一朗君も稲葉一広さん、神奈川の高校の副校長・木馬君も喜んでくれたエッセイ!
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