放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

中学柔道部の試合の思い出…

 四十五年程前。中学の柔道部だった私は、クラブ以外なにもやっていなかった。体力が無いのに柔道部に入ってしまい、練習で限界まで疲れてしまう。

 疲れて晩御飯が食べられない。帰ってすぐに氷入りの三ツ矢サイダーを一気飲みするのだけが楽しみだった。

 

 そして、翌朝も疲れが残り、朝食は食べられない。遅刻ギリギリに家を出るので、毎朝、荷物を持ってランニングしていた。

 お陰で、マラソンは多少得意になったが、これも、平均より少し早いぐらいで、大したことはなかった。

 

 私は中学入学時に肥満だったが、ものの一年でガリガリの体形となってしまった。169・9センチで49キロ。軽くて投げやすいので先輩に人気があった。

 OBが稽古に来ると「そこの、よく飛ぶ奴!やろう!」と、私を投げては「お前は、綺麗に投げられるから、良いな~!」と、喜んでストレス解消をしていた。

 

 そこで、私は、「変な組み方」「変な技」「ありえない手口」と、ヨーロッパスタイルの卑怯な柔道になって行った。「しっかり組んで勝負する、古き良き日本柔道」では、すぐに負けてしまうのだ。

 

 そこで、「右で組んで左で投げる」等、相手が驚く「卑怯戦法」で勝負していた。試合前の打ち込みでも、背負い投げしか練習しない。相手チームは、私は「背負い投げ」が得意と認知する。しかし、それは「ダミー」だ。右の背負いと見せかけて「左の袖釣り込み腰」で投げていた。

 これは、その後、金メダリストの古賀選手もやっていた技で、今はメジャーだが、当時はやる者が居なかった。

 

 私は体重は軽いが、副部長で初段。団体戦のレギュラーメンバーに入っていた。しかし、黒帯なのに体の大きな白帯から逃げ回り、卑怯な手で技有りをとるスタイルが笑いを誘った。

 

 この時の顧問の先生は、不思議な人で「何も教えない先生」だった。勿論、技は教えるのだが…。大事な情報を教えない人だった。

 

 三年の時。団体戦で県大会に出場したことがあるのだが…。その時も、先生は「いつ、予選があるか」教えず「今週の日曜試合だ!」と突然発表した。

 その予選は、後一勝で県大会出場が決まる試合で、二勝二敗で大将の私に回って来た。私は普通大将などやらないが、先生は相手の大将に強い奴が出ると予想し、負けそうな私を大将にして、エース同士が当たらないようにしたのだ。

 しかし、これが誤算となり、相手も一番強い奴を前半に出してきた。そこで、同点での大将戦となってしまったのだ。相手は背が高く、私など力でねじ伏せられそうだ。

 

 私は、得意の「卑怯戦法」で逃げまわった(当時、指導のルールは無い)。すると、相手があせって強引に「大外刈り」をかけてきたのだ。

 私は反射的に足を後ろにはねて返しを入れた。ドスン!審判が叫ぶ「技あり!」

 何と!相手の巨体がひっくり返ったのだ。ミラクルが起きた。

 この時の落ち方は普通は「一本」なのだが、弱い奴の卑怯な戦法は審判員の印象が良く無かった様だ。

 

 相手は、さらに焦って力づくで攻めて来た。また、強引に技をかけたので体が崩れている、返しを入れると、ドスン!「技あり!合わせて一本!」

 何と!県大会の出場が決まってしまった。

 

 数か月後。普通に練習していると…。先生が言った「今週の日曜は県大会だから、静岡市まで行くぞ!」

 部員は驚いた!確かに予選で勝ったから、本選があるとは思っていたが、それがいつなのか、またも教えられていない。したがって、大会に向けた練習もしていない状態だった。

 

 そんな状態なので、県大会で活躍できる訳がない。

 私は試合の途中で相手を引っ張ってそのまま場外に出てしまった。すると、審判が「場外注意!」「えっ!何それ?」

 我が部員は「場外注意」という反則を知らなかった。流石は「何も教えない先生」である。

 

 ルールすら知らない都会の柔道に我々はビビりまくった。我が部で一番強かった部長もあまり勝てなかった。

 

 しかし、先生はどうして大会の日程を教えてくれなかったのだろう?今も謎のままである。または、私がボーっとしていて聞き逃したのかも知れないが…。

 

 

このエッセイの内容は「何も教えない」いきなり読んで下さい!

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