放送業界のお話と落研と私的な思い出

放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

作家の井上さんと穴吹君!の想いで

 放送作家として、仕事が入って来て生活が安定した頃。三十年ぐらい前のことだ。知り合いの事務所の先輩作家・井上さんと会った。

 別の仕事で来ていたのだが、たまたま、井上さんも来ていたようだ。

 

 私は初対面だったが、その第一声は

 「井上です。僕は春風亭昇太さんが切奴(きりど)の頃から観てるんですよ」

 何と! 学生時代の昇太さんを観ているというのだ。

 

 「どこで観たんですか?」

 「僕、東海大の「UFO超心理研究会」だったんだよ! 毎回、落研の会は観に行ってたよ! 独坊(どくぼう)さんも甘奈豆(あまなっとう)さんも、面白かったけど…。好きだったのは獅子頭(現・柳家一九師匠)さん。あと、切奴は最初から凄かったね!」

 「何だ! この人…」(心の声)

 

 東海大落研の伝説の先輩の名前が、次から次へと出てくる。

 聞くと、井上さんは私の三つ上の先輩。もしかすると一年生の私も観られているかも知れないのだ。

 「小林君の名前はなんだったの?」

 「黒舟です」

 「ごめん、観てないかな!」

 私の印象の薄さは折り紙付きだから驚かないが…。チョットショックである。

 

 井上さんは文章が上手い人で、ドキュメンタリーのナレーションなど絶品の腕前だという。しかも、お笑い系にも対応していて、某・有楽町のラジオ局で笑福亭鶴光師匠の夕方の番組も担当していたそうだ。

 

 それから、数年後。私が半蔵門のFМ局で「耳の穴」(この番組のディレクターが「サンデーフリッカーズ」(JFN)の初代P・木多さん)という番組をやっていた時。井上さんとバッタリ会った。

 「ああ! 小林君。僕、今、このラジオ一本しかやってないんだよ(「ノルソル」)。時間があるから、小説書いてます」

 「小説書くなんて凄いですね?」

 「いや、かってに書いてるだけだけどね…。何か、仕事あったら頂戴ね!」

 以前、私が会った時はかなりの本数をやっていた売れっ子だった筈。フリー業者の難しさを見たような気がして、ぞっとした。明日は我が身なのだ。

 

 それから、一年後ぐらいだろうか? 井上さんは賞金一千万円の文学賞横溝正史賞の大賞」を受賞した。

 記事をみると「宮部みゆき氏絶賛!横溝正史賞始まって以来の最高傑作!」などと書いてある。

 凄い! あの時、書いていた小説に違いないのだ。

 受賞作「TRY」(井上尚登)とある。この作品は織田裕二主演で映画化された作品である。当人の井上さんもヒッチコックの様に通行人で登場していた。

 

 後日、井上さんと、あるパーティ―で一緒になった時、話したのだが…。

 横溝正史賞を受賞した時、連絡はしていないのに鶴光師匠からご祝儀を頂いたという。小説もすでに読んでいたそうだ。噺家は何とも粋である。

 

 話は変わるが…。ある日のこと。

 小田急線の経堂の街を歩いていると、大学落研後輩の兵枝(ひょうし)君に会った。彼は在学中から劇団を立ち上げて、作・演出・出演を続けていた。

 「久しぶりだね! 最近、芝居は?」

 「実は、就職することにしました。芝居は趣味で続けます」

 

 この時。三十は超えていたと思う。やはり、劇団の経営は大変なのだ。

 

 それから、数年後。彼の芝居が突然! 映画化された。芝居を観に来た監督が気に入ってくれたそうだ。

 

 人生は分からない。真剣にやってる時にはスポットが当たらなかったのに、趣味で始めたとたんに脚光を浴びたのだ。

 

 ある日。新聞を見ると…。NHKで「吉田茂物語」主演・渡辺謙。脚本・穴吹一郎とあった。あの後輩・兵枝君である。

 

 数年後。春風亭昇太師匠が初めて大河ドラマ「軍師!官兵衛」に出演した。一瞬しか映らない足軽役だが、天下の大河デビューである。我々、後輩たちは歓声を上げた。

 そして、スタッフロールを見ると…。脚本協力・穴吹一郎。と書かれていた。

 東海大落研が時代を超えて融合したのだ。私は放送をみたので、視聴・黒舟で三人の共演である(と、かってに思っている)。

 

 穴吹君は、八月二日スタート・日本テレビの日曜ドラマ「親バカ青春白書」の脚本を担当している。ムロツヨシ主演の話題作である。

 

 穴吹君! 告知しといたよ! 私はまた視聴者として、東海落研の融合をするつもりだ。「ちなみに、エキストラの役があれば、私、いつでも出ますから!」

 

 何とも私は小者である。しかし、小者ゆえ、仕事が無くなったことはない。目立たない活動は浮き沈みが少ないのだ。

 

こちらは、井上尚登さん、穴吹一郎君、も絶賛! と言う話は聞かないが…。

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