放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

自宅で仮面の忍者赤影だ!

 まだ自宅にいるので、ネットで「仮面の忍者赤影」を見始めた。私は忍者ものはそんなに好きではない。しかし、子供の頃の記憶では何故か「赤影」が好きで映画版の飛び出す「赤影」(セロハンをは貼った眼鏡で画面が飛び出す、昔の3D)も観た記憶がある。

 あれは、静岡県磐田市に昔あった、向かいに貸本屋がある映画館だったと思う。ここは、ポルノ映画からガメラまで、季節によって何でもやっていた様な気がする。

 

 それはどうでも良いのだが…。何故幼き頃好きでもない「忍者もの」に魅せられたのか、その訳を探るべく鑑賞を始めたのだ。

 

 すると、この作品は大人が真剣に作っているのが分かった。何と! 赤影は木下藤吉郎、後の秀吉の命で動いていたのだ。しっかりとしたナレーションが入り、作りは本物の時代劇である。舞台も時代背景も明確で、ナレーションで「豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎だったころ。琵琶湖の南に金目教という怪しい宗教がはやっていた〇〇〇〇」と毎回流れるのも良い(金目教編)。

 

 子供心に、この本物感が私に伝わったのだと思う。調べてみると、この「赤影」という作品は、東映の時代劇スタッフが真剣に作ったものだった。スタッフも役者も本物で、里見浩太朗さんが赤影に指令を与えたり、ピンチにかけつけて立ち回りまで見せているのだ。当時、東映はヤクザ映画路線に切り替えていて、時代劇の優秀なスタッフはテレビを撮っていたのだ。また、同じ担当者が並行して他社の人気番組「キャプテンウルトラ」も撮っていたという。当初、赤影は「キャプテンウルトラ」の裏で放送されそうになり、大もめして時間を移したそうである。

 

 忍術のバリエーションも豊富だし、撮り方の工夫も凄い。立ち回りが多く、飽きさせない。特撮こそ「円谷プロ」には及ばないが、構成力、アイディア、拘りが凄いのだ。観ているうちに、私の好きな要素が沢山入っていることに気づく。

 

 まずは「子供をバカにしていない」これは、「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」と同じである。画は本格時代劇と同じ作り。立ち回りが「スターウォーズ」の様にカッコいい。敵の忍者のキャラクターやアジトが「仮面ライダー」に近い。それでいて敵のコミカルな描き方は、「バットマン」にも通じる。忍者はほとんど妖怪に近い力を持ち、堺正章さんの「西遊記」の世界観とも似ている。

 

 見れば見る程、当たる要素が満載なのだ。製作秘話を見ると、スタッフが個々にアイディアを出し、それを積極的に採用。悪役の役者さんも自分のアイディアで独創的なメイクをしていたという。拘り過ぎて時間と予算がなくなり、かなり苦しい撮影だったようだ。

 実際、爆薬の使い方を見ると後の「仮面ライダー」より火薬も使う回数も多いように見える。人間なのに空を飛ぶシーンが多く、ウルトラマンの様に光線まで出すのである。そんなに強いのに、メインの武器は刀にして立ち回り。敵の見せ場も作るプロレス的上手さも兼ね備えている。さらに、念じて物を動かすシーンなど「スターウォーズ」でいう「フォース」の力である。青影のコメディ的演技は、C3POやジャージャービンクスとも似ている。

 

 いいぞ!赤影! と叫びながら、今、私は毎日5~6話を見ている。

 

 熱く語った割には、まだ、エンディングを知らないのである。しかも、半月間の無料期間で全部見るつもりである。

 つまり、ブログで蘊蓄を語れる程のファンではない。「本当のファンならブルーレイ買え!」とマニアから怒られそうである。

 

 皆さん、怒っちゃや~よ! 子供の頃、好きだったのは事実である。