その昔。都内のとあるラジオ局で、深夜3時から若手バンドのメンバー二人が喋る深夜ラジオを担当していた。
ディレクターのAさんは、過去にミュージシャンの番組を当てている若手の有望株だった。
番組の立ち上げ早々は、ミュージシャンの特性が分からず、探り探りの放送を続けていた。
そんな時。何回目かの生放送中にパーソナリティのTが「受験生、応援する企画やりてぇな~!」と熱く語り出した。
ディレクターのAは私に言った。
「よし、受験生を応援するために、英単語をダジャレで覚えるコーナーをやりましょう!小林さん、毎週、考えて下さい。」
「ええ~!」
「ダジャレ英単語高座」の企画がすぐに決まってしまった。
これは、お馴染みの例で言うと、Sightseeing(観光)を「斉藤寝具」。What time is it now? を「掘った芋いじるな」 と言うと通じる 、あの、パターンである。
作るのは良いのだが、また、困ったことが起きてしまった。ダジャレを作るのは出来るが、辞書を見ても元の正しい発音が分からないことだ。
田舎の学校など、英語教師すら発音が訛っていた時代のことである。とても、私の知識で放送にのせることはできない(私は意外にモラルがあるのだ!)。
そこで、思いついたが…。英語、青山学院・・・青山学院・落研の同期・秋風とんぼさんにお願いするしかない。彼女は通訳、英語教師、などをやっている。
かつて「ハリウッド映画・予告編特番」の時も、頼んだ、あの、英語の女神・とんぼだ!(コラムを遡ってお読み下さい)
しかも、当時、とんぼは、小田急線の駅一つ隣に住んでいたのだ。
早速、電話してみた。
「毎週、2時間ぐらい英語の発音教えてくれないかな?」
「いいよ!」
「今回はラジオだからギャラ払えないんだけど、集合した店の飲み代出すから許して!」
「分かった!」
私は毎週、英語の辞書を片手に、飲み屋のカウンターで適当に開いたページから、高校受験に出そうな単語を選んでもらって、発音を聞いた。
ダジャレになりにくいものは、私が却下するので、次々とプレゼンが続く。
私は英語の響きを聴いてダジャレが出来そうなものを、メモする。勿論、一流大卒の私はカタカナで発音を書き記す。
発音記号など私には何の役にも立たないからだ。ほとんど、寺子屋でオランダ語をひらがなで書き記す江戸時代の塾生の様だ。
そう言えば、彼女の住む街の近くには、吉田松陰ゆかりの神社もある。
私は「松下村塾」ならぬ「とんぼ村塾」の塾生となって、英語にいそしんだ。
このコーナーを続けていると、受験生からのハガキが来た。
「番組でやった単語が試験で出ました。ありがとう!」
私は恥ずかしくなった。発信している私が何も覚えていないからだ。私はダジャレを作る事だけに集中していたから、今も何の単語を紹介したか覚えていない。
あっ!一つだけ…思い出した!
確か、ファンダメンタルという単語を紹介したのを思い出す。新人のラーメン屋が、麺の茹で方に自信が無く「不安だ!麺たるんでたら、どうしよう?」的なダジャレだったと思う。
あれ?ファンダメンタルって意味なんだっけ?今、調べてみた!
fundamentalとは
意味・読み方・使い方
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単語を追加
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主な意味 | 基本の、基礎の、根源の、根本的な、根本からの、本来的な、重要な、主要な、必須で、なくてはならなくて |
多分、新米のラーメン屋さんが「基本」が分からなくて「不安だ!」「麺たるんでたら」となったのだろう?
しかし、麺は伸びるが「たるむ」は無理がある。
どう考えても、合格した受験生は、100%自分の力だ!
受験生は、まず、これを読もう!
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