「空港ピアノ」という番組の影響か、色々な駅にピアノが置かれる様になった。数年前、故郷近くの浜松駅で降りた時。駅にピアノがあった。ヤマハの地元だけのことはある。しかし、私にはピアノなど弾けない。誰かが弾くのを待つのみだ。
しかし、なかなか演奏者はあらわれない。日本人の性質かテレビの様には行かない(テレビも編集して良い所を流しいているのだろうが…)。
ふと、反対側を見ると…。何と!アコースティックギターが置いてある。「OH~!何と!駅ギターがあるではないか」。サスガはヤマハの地元だ!しかも、宣伝のため超高級ギターに違いない。早速、弾くことにした。
私のイメージの中のヤマハはジャラーン!と高音が出る感覚があった。友人の3万円程のギターの感想である。
しかし…。この、駅ギターは…。あれ?ドッコドッコドッコ!…。オベーションの超高級エレアコやギブソンのアコギに近い低音の感覚がした。
気づくと…。ギャラリーが集まっている…。しまった!私の演奏を期待している様だ。
私はFをやっと押さえられる程度の腕前である。人が居ないからギターの音を出してみたのだ。このプレッシャーはたまらない。とはいえ、ここで負ける訳にはいかない。
まずは「ウルトラQ」のアルペジオバージョンだ!私が「ヒーロー・アニメの教則本」で、唯一マスターした曲だ。毎日、練習して一カ月かかった曲。あまりの練習の苦しさに二曲目の「ウルトラセブン」を断念して、教則本は本棚のゴミとなった。
「ウルトラQ」を弾く私に驚く観衆。曲はマヌケだが教則本の難しいテクニックが入っている(名前すら知らない弾き方)。しかも、ところどころ音が出ない。
すると…。ピアノに一人の男が座った!やばい!まさかセッション希望者か?一人でも弾くのがやっとなのに、合わせることなど出来ない。
無視することにした。ストロークだけの「春夏秋冬」「外は白い雪の夜」「旅の宿」…。
ピアノの男は、あきれてセッションをあきらめたのか…。クラシックを引き出した。
上手い!音楽の先生レベルの力はある。音大卒かもしれない。
私はクラシックの曲名は知らないが…。「カノン進行」という言葉を知っている。マキタスポーツさんがサンフリのゲストに来た時教えてもらった黄金のヒット曲のコードだ。あの、あいみょん先生の「マリーゴールド」も、これで弾けてしまう。
私は知らないクラシックに合わせて「カノン進行」をぶつけてみた。
ピアノの男は、不快そうに席を立った。多分、絶対音感に私のギターが喧嘩をいどんだのだろう。
「勝った!」私は丸腰のヘタクソ・ギターでピアノを退却させたのだ。日本サッカーがドイツに勝ったように歴史が変わった瞬間だ。
あれから、2年程たったお正月。また、浜松駅を降りると…。ピアノはあるがギターは撤去されていた。何故だ?
「駅ギター」はピアノより評判が悪い様だ。駅の改札を出ると、ギターで唄うストリートミュージシャンが居た。
確かに、あまりギターを置く意味はなかったのかも知れない。でも、あの音の良いヤマハ。また、弾きたいなー!
40年程前。まだ、ギターのFが押さえられなかった頃のお話。「電車落語」は小田急線の車内でよくやらされた。たまたま、乗っていたお客が笑わないと先輩が「ヘタクソだなー!俺達がやった時は車内が大爆笑に成ったぞ!」と言われた。それは本当だったらしい。才能の無さに落ち込んだ!
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直木賞には程遠い、青春エッセイを皆様に…
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放送作家で専門学校の先生・下村稔さんが「上」に登場する「初めての下宿の描写」を褒めてくれました。私としては意外な部分でした。落研入部前の不安な若者の描写が良かったそうです。
「青春落語バカの楽しいエピソード」有名劇団の主催者や脚本家、演出家絶賛!
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