放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

前回の続き!あの番組の会議!

 (前回の続きなので、読んでない方は戻ってお読みください)

 

 師匠のМ先生にノーギャラで某有名番組の会議に参加した次の日。事務所に行くと、М先生が聞いた。

 「あの会議どうだった? どうやってた? 誰のネタが面白かった? 主導権は誰だ?」

 私が返事に困る程、色々と内容を聞いて来るのだ。これで、やっと気づいたのだが、今回、私を参加させたのは、画期的な企画で話題の人気番組の会議をリサーチしたかったのだ。

 私はスパイとして送り込まれたのだ。

 

 М先生は当時、各局の番組を八~十本抱える作家。この番組の司会Tさんの番組も他局で構成していた。新しい番組が気になって仕方がないのだ。

 

 特に、自分と同格の作家や知り合いの後輩の作家の立ち位置について聞いてきた。そして、演出家Iさんの会議の仕方を聞いてきた。

 

 一通り説明すると…(一回会議に出ただけなので分かっていなかったが)М先生が言った。

 「よし! お前にネタをやる。来週、その会議で発表してこい!」

 「えっ!」

 「「豚の反乱!」これ、出してみろ」

 「それ…何ですか?」

 「バカ野郎! 豚達が「俺達はしいたげられている」と言って養豚場から逃げ出して反乱を起こすんだ。それを、リポートするギャグだ。出しとけ!」

 

 さあ、困った! 私には無理のある企画に思えた。確かに、ドキュメント風のギャグもやっている番組だったが、私にはチョットと…と思ったが、言ったら怒られるので黙っていた。

 師匠の命令では、私の意思は関係なく出さなくてはいけないのだ。今の私なら、出さずに「出したけどダメでした」と言っておくが、新人の時は純粋である。

 

 私は「豚の反乱!」の展開を考えて発表した。反乱した豚達が「豚だって風呂に入れろ!」と銭湯を占拠した! 番組では銭湯を包囲して、豚達の説得を試みる。豚の大好きな若手芸人達が、豚ギャグでご機嫌を伺うことなった。つまらないと、芸人達は豚の狙撃に会う。果たして豚反乱軍のボスを納得させる芸人はいるのか?

 

 もう、書いていることがメチャクチャである。適当過ぎて書いていてチョット面白かった。もうどうにでもなれ! である。

 

 そして、発表すると会議室は凍り付いた。だだ一人。E研究会OBのKさんの合いの手が「面白い!」と入ったが、後は反応がない。

 

 演出のIさんが「はい、次の人!」

 良いも悪いもなく、スルーされてしまった。

 他に私の企画も三つプレゼンしたが、スルーされたのでМ先生のネタと同じ。五十歩百歩だったようだ。

 

 翌日。事務所に行くとМ先生が言った。

 「あの企画どうだった?」

 「えっ!」正直にシーンとした!とは言えない。

 「どうだったんだ?」

 「あの、作家のKさんが「面白い!」と言ってくれたんですけど、通りませんでした」少しМ先生の顔が落ち込んだ様に見えた。そして、

 「お前、プレゼンが弱いんだよ! 説得力が無いんだよ!」

 小言になってしまった。

 

 新人の作家は信用も実績もないから、何をやってもダメ扱いなのだ。 

 

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