放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

大学一年生の夏!!岐阜慰問!

 四十一年前。大学一年生の夏を思い出した。東海大学落語研究部では群馬県榛名山荘の地獄の合宿の後。全国の老人ホームで落語と大喜利の慰問をする旅行へと出かける。

 

 この年の慰問旅行は岐阜県。四つほどの班に分かれて別の老人ホームを慰問し、ついでに旅行するスタイルだ。

 1グループ四~五人となるが、メンバーはは三年生の先輩が会議でドラフト的に後輩やOBを選んで行く。

 つまり、私はグループのリーダーに指名されたことになる(バズレ一位かもしれないが…)。

 

 この時のリーダーは、クラブの委員長(部長)二代目・頭下位亭甘奈豆さん、会計の芸馬(ゲイバ)さん、二年で唯一人の女性部員・味彩さん、一年は私(黒舟)、押忍(おっす)の五人だ。

 このメンバーは、実はリーダー不在の「人に流される」メンバーだった。となると、一人の女性ががぜん強くなる。

 全員で二年の味彩さんのご機嫌を気にする旅となった。

 

 観光も駅弁も決定権は二年生の味彩さんだ。先輩に敬語をつかってはいるが「ええ~!あそこ行きましょうよ~!」と言われれば反対する者がいないのだ。まるで、気の弱い旦那の家族と同じだ。

 

 飛騨高山に向かう、鉄道の乗り換え駅だろうか?駅前に出ると女子大生のグループが居た。十人程いるが…それが、全員が相当に可愛い集団だ。

 すると、三年の甘奈豆さんが「黒舟!チョット声かけてこいよ!」。おおー!出た!気の弱い落研定番の展開だ!もう一人の一年・押忍は岩手県出身の元高校球児。とても女子大生に声などかけられない。

 かといって、私も「人生で一度も女性に声など」かけたことがない。

 

 しかし、精神だけ体育会系のクラブでは先輩の命令は絶対なのだ。

 

 私は事務的に声をかけた。「僕達、落語の慰問で老人ホームを回ってる学生ですけど、一緒に写真撮りませんか?」「いいですよ!」

 話は簡単だ!私は役目として声をかけているので「ギラギラ」した感じがしない。結果、好印象に映るのだ。

 

 私が「OKです!」と合図すると…。先輩達が走ってきた!まるで、ハイエナの様に女子大生全員を笑わせている。

 よく笑う女子大生で、芸馬さんなどは「変顔」をしてコマネチの形で「ギフ!」「ギフ!」と言うだけでウケている。ギャグの意味さえ分からない。

 私は完全に置き去りである。おかげて、私は彼女たちがどこの大学で名前は何かもまったく覚えていない。

 

 今もその時の写真があるが、はしゃいだ三年生の横で私は浮かない顔である。

 そして、私よりさらに「浮かない顔」の人物が居た。二年生の女性・味彩さんだ。

 女子大生が去った後、味彩さんは私に「何で女なんかに声かけるのよ?私も女子大生だっつーの!」とプレッシャーをかけてくる。

 

 私「だって、先輩の命令だから…」

 味「いや、嬉しそうだった!」

 私「嬉しそうだとしても、良いでしょう?」

 味「ダメとは言ってない!」

 

 大人の人間関係は難しいことを初めて知った瞬間である。

 

 後に私が先輩になって、慰問の時。後輩に「声かけてこいよ!」と言ったことがある。すると…。後輩達は尻込みして誰も声をかけられない。

 「先輩の命令は絶対」というルールが早くも崩れていた。私の威厳の無さは凄いものだ。仕方なく、私が自分で行くことにした。

 

 「僕達、落語の慰問で老人ホームを回ってる学生ですけど、一緒に写真撮りませんか?」「いいですよ!」

 私が後輩達にOKを出すと…。奴らは「わー!」っと走って来た。話は盛り上がって、電話番号まで聞いて居る。

 私は置いてきぼりである。後輩達は「慰問旅行」の後も、この女の子グループと合流して旅行したそうだ。私に「誘いはなかった」。

 

 おいおい!まただよ!

 

 話は飛ぶが、釣りをする時。「釣りたいという気持ちが強いと」当たりがなくなると言われている。名人は「殺気を消して」釣るのだそうだ。

 「女性のナンパ」も同じではなのだろうか?「役目として声をかける」私には「下心が見えない」。だから、拒否されなかった様な気がする。

 

 結局、後輩達も数回デートしたぐらいで「つき合ったり」はしていなかった様だが…。想いでにはなったと思う。

 

 そして、部員はみんな思っていた「モテないキャラの方が笑いがとれる」。デートなどは、部員に気づかれないように隠れてするものだった。

 

 まだ、モテ・キャラが「笑い」を取りにくかった時代である。

 

 

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