放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

ダメダメ詐欺が来た!

 三十年程前の事。私が世田谷区経堂の女子高前のアパートに住んでいた頃。

 

 珍しく呼び鈴が鳴った。当時は今と違って宅配など頼むこともなく人が訪ねて来るのはまれだった。

 出るとスーツを着た二十代の男が名刺を差し出した。「土地を売ってます。話だけ聞いて下さい」。

 私は教えてあげた「このアパートに住んでる人で土地を買う人は居ないと思いますよ。もっと、高級なマンションとかに行ったらどうなの!」

 すると、男は「いえ!話だけ聞いて下さい」と譲らない。すると、後ろから年配の男が来た。

 

 「これは、うちの新入社員がすいません!何かありましたか?」

 「別に何もないけど、土地売るなら他のマンションに行った方が良いですよ」

 「チョット。説明していいですか?」

 

 二人は家に上がって来た。男二人は資料を出すと、「千葉県の土地が今お買い得なんです」と言い出した。私はあきれて…。

 「あのね~!この間取りを見て!台所四畳半、居間六畳だけのやっと風呂が付いてる物件ですよ!土地買う人がいると思いますか?」

 「いや、そういう方がお金を貯めているんですよ!しかも、この千葉の土地を見て下さい。今は格安ですが、この地図の様に高速道路が通る予定で地価が高騰するんです」

 

 地図には手書きで高速道路の予定が書きこまれている。

 

 うわ~! 完全にサギである。私は正直なので素直に言った。

 

 「あのね~!値段が上がると分かってたら、売る訳ないでしょ?あなたの会社で持ってて儲ければいいじゃないか」

 「いや、うちは決算なんで皆様に儲けてもらおうと…」

 「あのね~!詐欺にしても手口がヘタ過ぎるよ!しかも、飛び込みのセールスで土地を買う人が居ますか? 騙されるとしてもお年寄りでしょう? あんた!儲ける気ないでしょう? 売れなくても給料だけ貰うタイプの仕事の仕方じゃダメだよ!」

 

 これでは、まるで私が上司である。

 

 上司の男は「はあ…帰ろうか!」若手「はい!お邪魔しました!」

 

 玄関を出ると二人のもめる声がした。「なんでこんなアパートで営業してんだよ!俺は、向こうのマンションに行けって行っただろう! 変な奴に捕まっちゃったじゃないか!」

 「すいません! ほんとにたちの悪い奴でしたね!」

 

 私は思った!「ダメだ!こりゃ!」

 

 この二人では詐欺まがいの営業はとても出来ない。

 

 私は放送作家という仕事柄、この手の出来事が大好きだ! 違和感のあるものに遭遇すると、ワクワクする。

 実は、この物件に住んでいる時…。もう一人記憶に残るセールスマンが居た。

 

 それは、次回、発表する予定である。

 

 

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