中学二年の頃だと思う。土曜日に母方のお婆ちゃんの家に遊びに行った時。テレビで映画「小さな恋のメロディ」を見た。
映画好きのオジサンが見ているのを親戚中でなんとなく見ていた。この映画は日本の封切からは五年程たっていたが、映画にうとい私には「初めて聞くタイトル」の映画だった。
真剣に見ているのはオジサンだけで、婆さんやオバサンは世間話をして笑っている。
その画面にヒロインのトレーシー・ハイドが踊るシーンが映った。真面目な少年のマークレスターが恋に落ちる場面だ。
何故か私も釘付けになってしまった。映画に入り過ぎて、いつの間にか、私がマークレスターになってしまったのだ(トレーシー・ハイドがタイプというより、マーク・レスターは俺と同じだ!と思ってしまった)。
そのまま、マークレスターの言動は、すべて自分の言動と錯覚する一体感があった。
二人が友達と結婚式をあげ、最後に、教師と父兄から逃げてトロッコに乗り走り去るシーンでは涙があふれた。
何故あんなに感動したかは分からないが、子供の心に響く作品だったと思う。
最近、知ったのだが「小さな恋のメロディ」が大ヒットしたのは日本だけなのだそうだ。私は世界的ヒット作だと思っていたので意外である。
当時、日本は「受験戦争」で大変だったからヒットしたのかも知れない。
しかし、何故? 「受験勉強」をしなかった、私が感動したのだろう? 受験勉強のフリをして机に五時間座ってラジオを聞いたりしたが、実際勉強はしていない。
それも、それなりに大変だったが…。
私が思うに「学校や教師」から逃げたいと思っていたようだ。風邪で水泳を休むと先生は「本当は泳ぐのが嫌なんだろう」と言った。私は水泳は嫌いだったが、休む様な卑怯なマネはしない。先生は私の真面目さをまったく理解していないのだ。
柔道部で腰を痛めた時。先生に「腰が痛くて体育大会で走れません」と言ったら「走れるスピードで良いから走りなさい」と言われた。そこで、「ゆっくり」走ったら「あいつは、ふざけて走っている!」と言って職員会議で問題になったそうだ。
あのトロッコで先生と父兄から逃げる映画のシーンは、私の願望だったのではないだろうか?
後日。優等生の友達のU君と映画「ベンジー」を観に行った。何故なら新作の「ベンジー」と旧作の「小さな恋のメロディー」が二本立てだったからだ。
静岡ではこんな変則の二本立てが時々あった。私とU君は「小さな恋のメロディー」のパンフレットを買った。どうやら、優等生のU君も目当ては同じだったのだ。
立川談志師匠のCDを聞いていると、「小さな恋のメロディ」を観た感想を言っているものがある。
映画の冒頭でメロディーが廃品と金魚を交換するシーンがあって「海外では、金魚と交換する廃品回収があるのかね?」と、文化の違いを話していた。
私は、このシーンにはまったく注目していなかった。「金魚」が出たのは憶えているが、廃品回収で金魚を貰ったとは理解していなかった。
「小さな恋のメロディ」久しぶりに観てみようか? と思う夏の日である。
う~ん! 普通のブログになってしまった。アクセス数が少なそうだ!
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