放送業界のお話と落研と私的な思い出(瞳尻・黒舟)

「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語」スピンオフ・エッセイ。放送関係。業界のエピソードと近所の出来事

前回の続き。ラジオの思い出!

 Pli:z(プリーズ)のオールナイトニッポン(金曜二部)は、極普通の聴取率だったが、私にとっては毎週何が起こるか分からない刺激的な時間だった。

 

 ある日。ディレクターのHさんが言った。

 「なんか、慣れて来ちゃって…つまんないな~!」

 「新コーナー考えますか?」

 「いや、今日はスタジオやめよう」

 「えええ~ッ! そんなの、やって良いんですか?」

 

 何の意味もないのだが、パーソナリティが慣れてマンネリ化しないように、制作のフロアーにマイクを置いて二時間放送するというのだ。

 深夜三時~五時の放送なのでフロアーに人は居ない。誰の邪魔にもならないのだ。

 しかし、思いつきでこんなことをして、果たして怒られないのだろうか? 私はハラハラものだが、Hさんは平然としていた。

 

 この計画を知らされた、Pli:zのリーダー・今西君は「面白いですね。やりましょう」と、喜んでいた。

 

 やってみると、番組のトーンが変わってパーソナリティが生き生きと話すのが分かった。また勉強になった。環境を変えると人は気合が入るのだ。

 

 制作のデスクに落ちているノベルティグッズをレポートしたり、社員のデスクにどんな本があって、整理されている社員は誰か? 汚いデスクは誰か? など、リスナーには関係ない話題も飛び出している。

 元々、メンバーの二人は外に出ている番組なので、局内とはいえ、外の三つ巴となり、それも刺激的だ。

 リスナーの反応は分からなかったが、チームの結束は強まったような気がする。

 

 ある日。また、Hさんが言った。

 「今日のオープニングは「パンツ一丁でやる」」

 「ええええええ~ッ!」

 聞くと、これも意味は無いが、深夜三時の時報で登場曲が流れ、局アナの実況中継を入れ、スタジオの外から中へと入るパンツ一丁のロックバンドの様子を実況すると言うのだ。メンバー六人が全員自前のパンツ一丁。さらに、作家もパンツ一丁で入ると言うのだ。

 「僕、ブリーフ履いてきちゃったんですけど…」

 「いいじゃないか! ブリーフの方が面白い!」

 

 この人、完全にいかれている。

 

 この話をPli:zのリーダー・今西君に告げると…。

 「面白い! やりましょう!」

 やるのかよ! ロックバンドってそんなキャラでいいのか?! とは思ったが、彼らはノリが良いのだ。

 

 やってみると、実況アナの面白さもあって、やたらと盛り上がる。ファンもメンバーがどんなパンツを履いているのか実況してくれるので楽しめた様だ。

 

 しかし、実況を担当したSアナは服を着ていたので、みんな、心の中で「卑怯者!」と叫んでいた。今思うと、やるならHさんもパンツ一丁でないと不公平である。そこには誰も気づいていなかった。

 

 この時脱いでいれば「全裸監督」ならぬ「全裸ラジオD」になれたのに、惜しいことをした。

 

 年の暮れ。大晦日が金曜日の時があった。Hさんが言った。

 「メンバーのアパートから放送しよう」

 「面白そうですね」

 もう、私も驚かない。感覚がマヒしているのだ。

 「メンバーの一人にドッキリを仕掛けるから、小林、避妊具勝ってこい」

 「えっ!」

 

 メンバーの一人が全員の部屋をレポートする時、「避妊具」を仕込んで発見。イジラレ役を脅かすというものだ。

 ドッキリが行われることは、リスナーにだけ分かる様に、仕掛け役のメンバーが説明。

 その説明の時間には、実際には放送しないトークを生でさせて、本当の放送は当人に聞こえない様にしたのだ。

 しかも、ドッキリのことはレポート役のメンバー一人にしか教えていない。メインパーソナリティを含めた他の五人もドッキリを知らず、「避妊具発見」で本当のリアクションをするのだ。これは、あまりに手が込んでいる。

 本当にこんなことが出来るのだろうか? 

 

 これが、やってみると大成功。現場は爆笑となった。

 ここまでしたのだが、世間的にはあまり話題にならなかった様だった。リスナーだけの伝説回となった。

 

 この番組が終わった時の、打ち上げの挨拶で、リーダーの今西君が…

 「毎週、来るのが楽しみでした。僕達は、Hさんと言うガキ大将のまわりに集まった近所の悪ガキみたいで、子供の頃に帰った様でワクワクしました」と語っていた。

 

 これは、私も同じ意見である。

 ちなみに、この番組でADをやっていたN君は、今、有楽町のあの局で春風亭一之輔の朝の番組をやっているとか? いないとか? おお~! また、一之輔に繋がってしまった。

 

 なにはともあれ春風亭一之輔がパーソナリティのFМ「サンデーフリッカーズ」(JFN)を宜しく。結局、宣伝である。

 

こちらも宣伝。「嗚呼!青春の大根梁山泊東海大学・僕と落研の物語~」

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